第六章 Perfect Breaker
不撓不屈
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た。じゃあ、今度はあなたの番でしょ?」
最早かける言葉に、感情はない。
彼女からそれが消えたのではない。
もう、ただ消えるだけの「自分の代わりだった人形」に、感情などかける必要はないからだ。
これはもうじき自分になる。
ならば、そこに同情など必要はない。
「せいぜい夢想してなさい。幻想を描きなさい。私も、あの地獄の中そうしたわ。でもね、そうしていると次の脅威がやって来るの」
街のみんなを思い出した。
模造兵士が、腹を殴りつけた。
楽しい街並みを思い描いた。
機械のアームが、頭を押さえつけた。
いつもの家族の風景が脳裏に浮かぶ。
獣が襲い掛かって、足にかみついた。
無事に明日が来ると夢を見た。
模造兵士が、容赦なく目を潰してきた。
そこに希望があると手を伸ばした。
腕を、模造兵士が斬り落とした。
大切な人の姿が浮かんだ。
全身を打ちつけられ、彼女は終わる。
「いい?あなたは都合よく覚えてないみたいだから教えてあげる。そんなのはね――――」
「・・・・・」
「そんな幻想、妄想、夢想はね、現実は乗り越えられないのよ」
ドクン
何かが、跳ね上がった。
心臓が痛む。
脳が軋む。
自分から何かが流れていく。
大切なことが、無くなっていく。
そのせいだろうか。
思い出が自分の中を渦巻いていく。
ふと、ある時のなんでもない会話が浮かんできた。
『ねね。戦いの中で、絶対に勝てないな、って思ったことありました?』
それは、誰と交わしたのかも思い出せない会話。
話している相手の顔もわからないし、顔を見ても判別できないだろう。
『そりゃ、あるさ』
相手の声が誰かもわからないが、それが答えた。
『相手は俺より強いなんてざらだったしな』
『でも勝ってんじゃん』
『そりゃ、いろいろなモノが味方してくれたからな』
『仲間?』
『まな。でも、仲間って言うのだけだと説明できないな』
『うん?どゆことです?』
『仲間の助けってのは重要だ。でも、その仲間がいてもどうしようもなかったとき、世界は応えてくれた。力を貸してくれたんだ』
『世界って残酷とか言ってなかったです?』
『そうさ。世界は残酷で過酷だ。でも、それに立ち向かおうとしたときに、仲間と一緒に必死になったとき、それは決して無視されない』
『そんなまたまたー。気持ち一つでそんな事が出来るなら、誰だって負けませんよ〜』
『確かにそうだ。ただの気持ち―――幻想とか夢想なんかじゃ現実を変えることはできない。でもな』
そういうと、銀に輝く白の光の中、男はこう答え
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