第六章 Perfect Breaker
不撓不屈
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の差。
相手が五人なので苦戦するとは思っていたが、思っていたより抑圧が弱い。
というより、抑圧しても思っていたよりまだ強い。
最後の一斉掃射によって、翼刀は全身を強打していた。
刃を体に貼り付けるようにして防いだものの、それでも身体の軋むような痛みが残る。
更には破洸撃のダメ押しで吹っ飛んだ時、膝を強く校舎で打ったようだ。
折れてはいないが、骨がギチギチと言って痛む。
曲げると響くし、歩くのも正直キツイ。
「ヴァルクヴェイン、頼む・・・」
ヴァルクヴェインの力で少しずつ回復させていくが、本当に少しずつだ。
あまりに一気にしすぎると、せっかく隠れたのに察知されてしまう。
「にしても、とんでもないなやっぱり・・・・」
別可能性の、五人の翼人。
よく言われるのは、それは本来の強さを得たわけではない存在だから、だとかいって本人よりも弱いと言われやすいが、これは違う。
別の可能性の彼等、ということは、その道筋においてまたその強さを獲得した彼等だと言うことだ。
つまり、強さに強弱などありはしない。あの状態なりの彼らの強さを追求した以上、本来のだとかそんなことは差にならない。
「一歩間違えれば、翼人は世界を破壊する、か」
何処かで聞いた話を思い出し、五人がいい人たちで本当によかったと今更ながらに考える。
と、そこでふと思いいたる。
俺だって、一歩間違えればああだったんじゃないか―――と
いや、むしろ自分はあっち側の側面が大きかった方だ。
多くの人たちがいなければ、鉄翼刀は「悪」の存在だった。
「ッ・・・・」
頭を振り、その考えを払う。
そんなことを考えている場合ではない。
「集中・・・・!!」
目を閉じて、心を制御する。
大丈夫だ。自分は違う。
そうだ。
彼等は言わば「救われることのなかった存在」だ。
仲間の救いなく闇に堕ちた剣士。
救いなく、仲間を失い絶望した少年。
仲間を得ることなく、破滅の者となってしまった青年。
助け出されることなく、呪いに蝕まれた少女。
助けを拒み、救いを諦め、悪に手を伸ばした男。
ならば、自分は救われた存在だ。
仲間に救われ、その想いに助けられた。
反省することはあっても、後悔することなどありはしない。
ましてや、それを否定して自分もああだったなどと言い出すなど言語道断。
それは、自分を助けようと必死に戦い、そして手を伸ばしてきた彼女たちに対する冒涜だ。
「ウシ」
唸るように息を吐きだし、小さく気合を入れる。
救い出すと言うことはできない。
もうすでに、彼等はそうなってしまっ
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