第六章 Perfect Breaker
不撓不屈
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呼吸をする程、息苦しくなる。
ヒタヒタという足音が、不意に止まった。
静寂に包まれる自分の周囲。背後は壁だと言うのに、360度すべてに脅威を感じるほどの。
なまじ薄暗闇だからこそ、見えるから余計に怖い。
そして、ヌぅと現れた脚が眼の前に現れ、その頭を踏みつぶそうと落ちてきた。
「う、うわぁッッッ!!」
さっきまで動き方がわからないなんて思っていたのが嘘のように、あっさりと体が動いてそれを回避する。
だが立ち上がることはできず、四つん這いで必死になってそこから逃げる。
壁伝いに、そこから少しでも距離をとろうと。
だが、背後に感じる気配は間違いなくブレイカーの物。
足音を聞くと、どうやらこっちと同じスピードで追っているらしい。
「ハァ、はぁ・・・はぁ・・・・」
ズルズルと、必死になって闇を進む唯子。
すると、当然部屋の隅に行きついた。
逃げ場はない。
振り返ると、浮き出る様に闇の中から現れるブレイカー。
「返して、貰うわよ」
「い・・・やだ・・・・」
「わかってるわよ。私だって言われたらいやだわ。でもしょうがないでしょ?どっちか一人しか、綺堂唯子は許されないのだから」
「いや・・・だよ・・・・」
「だったら勝ってみなさい。最初から言ってるでしょ。生き残った方が、綺堂唯子だって」
「私・・・翼刀から離れたくないよ・・・・」
「そうね」
唯子の言葉に、ブレイカーは頷く。
そして
「それは、私もよ」
ズイッと顔を近づけ、その頭を掴み取る。
そして持ち上げ、握力だけでギリギリと締め付けて行った。
「私の代わりに過ごした今までの記憶をもらうわ。そして、私はやっと、私になれる」
嫌だ嫌だと叫び、その腕をはがそうと暴れる唯子。
だが、その動きを見切ってブレイカーは巧みに腕を揺らしてその力を逃がす。
逃げ出そうにも逃げ出せず、涙をただ流しながら綺堂唯子はだんだんと力を失っていく。
「本当はね、翼刀のそばにいるべきは私なのよ。あなたじゃない。そんな綺麗なままのあなたがそばにいるなんて、そんなの、許さない」
綺堂唯子が、終わる。
そして、始まろうとする。
これは自分との戦い。
それは強さに関係なく
先に心が折れてしまった方がここから退場すると言う
残酷で、それでいて正しい淘汰の世界だ。
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「グッ・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」
抑圧をかけてなお、あの驚異的な力
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