第六章 Perfect Breaker
五翼 凶襲
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―――――人には、数値化できない「何か」があるから。
愛、絆、勇気、絶望、友情、希望、怒り、
それら人間の感情とされている様々なものを、敢えて一括りに言うのであれば
それはやはり、彼の言う「素晴らしさ」に他ならない。
「まあ簡単に言うとだ。ぶっ飛んだお前らより、確固たる自分を持って生きるアイツらの方が、よっぽどましだってことだわな」
振り下ろされた似非シグナムの刃。
それが、ショウのつむじの数センチ上まで迫る。
髪の毛に、触れる。
だが、その瞬間。
剣に電火が奔り、バチッという音が鳴ったと思うと
《電火一閃》
そんな声だけがして、音が消えた。
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雷が、空に落ちた。
地にではなく、空に向かって真っすぐに。
黒―――否、ほんの少しだけ紫の混ざったその雷は、しかし稲妻のような形をしていなかった。
一直線に、空へと向かって伸びていく。
それはもう雷というよりは光線やビームと言った方がいいだろう。
それを視認したのは、戦いに出ている者の中では鉄翼刀のみ。
再び校舎内に入り込み、周囲を巻き込みながらの攻防のさなかにそれが起こった。
比較的平たいはずの校舎が横に揺れて、ガラスが割れて落ちる。
そして直後、ドンッッッ!!という凄まじい音が全身を叩いた。
それだけは、地上に落ちる雷と同じ現象だ。
ただ違うとすれば、その威力。
なにせ何かで―――そう、例えば枕で叩かれたような衝撃を受ける程の音となると、一体どれだけの物かと呆れるしかないだろう。
だが、遠くで起きたその現象に驚いている暇もなく、鉄翼刀は目の前の男に視線を向ける。
蒔風が構える剣「天」と「地」は、トンファー型の剣だ。
おおよそ斬撃に関してはほぼ使えなさそうな形をしている。使えるとして、防御だけだ。
切ろうとすると、相手の身体スレスレを通らないと斬れないのだ。
そして斬れたとしても、せいぜい薄皮程度にしかならない。
だが、それがこの徒手空拳の戦いになると話は別だ。
彼は暗殺としての戦いで、この形が便利だとして重宝しているが、それだけではない。
これを握った拳は紙一重の回避が出来ないし、下手に手で受けると傷だらけだ。
しかも相手がガードに刃を使うとこちらのダメージが大きい上に、先端を反転させれば突きが襲い掛かる。
「っとにやらしい戦い方すんなアンタ!!」
「そう言うな。俺が、ということは今の蒔風だって得意な戦い方だぞ?」
「へーへーそうです、かっ!!!」
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