第六章 Perfect Breaker
五翼 凶襲
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ナムは決して、自己満足のために誰かを傷つけることはしない。ヴィータはあんな性格だが、自分から破壊を振りまくことはない」
ドカッ!と、似非ヴィータの身体が似非シグナムにぶつかる。
同時に彼女のバインドも解け、しかし身体が絡まって体勢が崩れる。
「シャマルは相手が健やかにいられることだけを真に願うし、ザフィーラが自分だけを守るような防壁を組むことはないだろう」
その間にもショウは波動砲を撃ち続けている。
だが似非シグナムはそれらを強引に集束して、魔力刃に溜めこんでいる。
連結刃のカートリッジはすでに全発装填済み。
後は集束が完了してから、こいつであいつを真っ二つに斬るだけ―――――
「だが、あいつらがお前らより優れているとは俺は言わん。お前らだからこそできることもこうしてあるわけだし、優れている点も多いだろう。だが、俺はお前らをあいつらよりも下だと思っている」
それはつまり。
狂気を、妄執を、衝動を、野性を
悪とは決して断じることはなくとも、その存在を否定するわけでもないが
蒔風ショウは、それは違うと言っているのだ。
「それは人の物ではない何かだからだ。皮肉なことに、生前お前たちは怪物だの化け物だの言われてきて――――そして、人格プログラムとなって初めて、人間らしさを得ている」
かつて混沌に身を落とし、人であろうものが持つ倫理のことごとくを破棄した彼だから、彼女たちは違うと言う。
狂気。
良いだろう。それがなければ、人はつまらない。
妄執。
良いだろう。それがなければ、人は足掻けない。
衝動。
良いだろう。それがなければ、人は突き動かされない。
野生。
良いだろう。それがなければ、人は営みを忘れる。
だがそれだけであるお前たちは、人ではない。
人は、人というものは。
たとえそれらを抱えていながらも、それに負けることなく踏みとどまり、折り合いを付けた生き方のできる生物のことを言うのだ。
「喰らえ―――――」
「どっちが優れている、劣っているとは言わん。だが」
似非シグナムの魔力刃が振り下ろされる。
連結刃は、すでにその魔力に耐えきれず砕けた。
さらに言うなら、似非ヴィータの魔力も集束したのかこの刃には爆破効果も付与されている。
それに向けて、ショウがユラリと取り出した魔導八天が向けられる。
「ただな―――――俺は踏み越えたお前らより、あいつらのような生き方の方が素晴らしく思える」
優れているかどうか、ではない。
確かに、そんなことを言えば人間の優劣は容易に区別できるだろう。順位付けは残酷に行われるだろう。
だが、それが一見正しいと思われながらも否定されてきたのは
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