第六章 Perfect Breaker
勇猛の戦士
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彼女が疑問に思っていたことはただ一つ。
あらゆるものを斬り裂くことが可能なほどに収束圧縮した魔力の刃。
この男はそれを蹴り上げることで、あの女(リィンフォース)を救った。
似非シグナムの視線は一点を見つめている。
ショウの脚の爪先。
リィンフォースと話している、彼の足先だ。
斬れていないのだ。
その足先に、微塵の切れ込みすら残っていない。靴にさえ、新たな傷はついていない。
少々ゴツイ靴ではあるが、それで防げるような軟な刃ではないはず。
「おう。ちょっとばかしお前らヤバそうだったんでな。体内の世界レベルを上げた」
その似非シグナムの視線に気づいたのか、ショウが半笑い気味に語る。
「まあなんだ。実を言うといまだに俺って全部のエネルギー使い切れているわけじゃないんだわ」
世界一つのエネルギー。
それを体内に収めた彼ではあるが、その力を十全に使えるわけがない。
それは「奴」だった頃もそうである。
かつて、アリスは世界一つのエネルギーは翼人一人に匹敵すると言っていたが、そんなことはない。
厳密には「それだけの力を有した程の者は、翼人と渡り合えるくらいに強いのだろう」というだけのこと。
翼人であっても、力を引き上げていって世界一つ分を返還しただけのエネルギーに達するとなると、もはやその瞬間に爆ぜて死ぬほどだ。
つまり、彼は世界一つのエネルギーを体に収めながらも、その全てを解放したことは一度もない。
ほとんどは眠らせている、もしくはいざという予期の予備エネルギーとしている状態だ。
その中で、彼が「限界」であると感じる段階。
昔はその限界まで引き上げていたのだが、今の彼はその数歩手前で止めている。
彼が驚異的な強さをたびたび垣間見せるのは、その段階を引き上げているからだ。
そして、今回もまた。
「なかなかできるよ、おまえ。俺のレベルを引き上げさせるんだから。だけどなぁ・・・・これやっちゃった以上、お前もう付いてこれないぜ?」
引き上げさせるのは流石だ。
だが引き上げた先で、最早俺と立ち合えるなんて思うなよ。
その言葉に、背筋がゾクソクとしてきた。
さっきも楽しかった。
だが、この男はもっともっと楽しませてくれる。さっき以上の戦いが、斬り合いが出来ると言うのならば、それは――――――
「ざけんな」
「!?」
唐突に
目の前僅か30センチもない距離に、ショウが一気に接近してきた。
「なぁ!?」
「お、初めてそんな声出したな」
ショウの振り上げた逆袈裟の剣に、とっさに反応する似非シグナム。
だがその一撃を防ぎきれたかとい
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