第六章 Perfect Breaker
勇猛の戦士
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を差し引いても、彼のダメージが回復しているような気もする。
「な、なにが・・・・?」
困惑するリィンフォース。
確か、この男は似非シャマルというべき女と戦っていたのではないか。
しかも、それはついさっき。五分も経ってない。
もしシャマルの能力が彼女のもっていたものだったならば、それはきっともっと凶悪なものだったはず。
「旅の鏡」を最悪の使い方をすれば、重要な内臓を直接鷲掴みもできる。
そのまま抜き取れば、心霊手術の真似事だって可能なはずだ。
先ほどショウが苦しみだして、標的を変えたのはきっとそういうことだ。
だと言うのに、なぜこんなにも早く?
「なに、簡単な話だ。あの女は相手を生かさず殺さず、ずっと自分の手の中で看病し続けたいとかほざいた輩だ。だったら――――あいつは俺を殺さない、だろ?」
「・・・・・あ」
言われてみればその通り。
あの女は、相手の一生の全てを縛り、自らの手で管理して尽くすことに至上の喜びを感じていた。
結果的に相手はそれに耐えきれず死んだわけだが、彼女は相手の命に直接手を伸ばしたことは一度もない。
だから、ショウはそれを逆手にとった。
決して殺されないのであれば、どんな無茶だってできる。
逆に、こちらが大きなダメージを負えば死なないように処置もしてしまうのだ。
それほどに、彼女は主を大切に思っている。
歪んでいるのは間違いないが、その献身は間違いなくトップクラスなのであった。
ショウは、その中で突き進んだ。
内臓を掴まれようが、心臓が握られようが、血管をせき止められようが、肺を押し留められようが、この男は一切の躊躇もなく突き進み、そして彼女の前に立った。
それは同時に、彼の身体が真に危険な状態になったところでもある。
だがそれでも斃れない。
余りにも追いつめてしまった彼女は、さすがに死なせるわけにはいかないと治癒をかける。
完全には治されないが、持ち直すところまでそれが施された。
瞬間、彼の手刀が彼女の首に直撃した。
その一撃のもとに彼女は命を絶たれ、瞬時にこの戦いから脱落したのだ。
これが、蒔風ショウ。
これが「EARTH」副局長。
蒔風以上に、不動の意志を持つ男。
一切の迷いなく、ただ敵を倒すと言うベクトルに突き進む。
だからこそ、彼はあの女の相手を引き受けたのだ。
(・・・・・は?)
一方、そんなことは似非シグナムにとってはまったくもってどうでもいいことだった。
一応は一括りにされて召喚されたものの、仲間意識なんてものは彼等には最初からなかった。
だから倒されたことは別にいい。
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