第六章 Perfect Breaker
勇猛の戦士
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つ。
あの男――――アーヴ・セルトマンという男の、願いを叶えさせてやろうと。
あの男は、世界に置いて行かれ、絶望し、飽き、枯れ果てていた自分たちに新たな道と力を示してくれた。
それが悪の道であることは重々承知である。
彼等は妄信者などでは決してない。
だが、それでも彼等はそのために動く。
あの男の思惑は、そんなことどうでもいいのだろう。
戦力にしようとも、音を売ろうとも、そんなことは微塵も思っていないだろう。
彼の作り出した「完全」の能力。
我々はそのモルモットに選ばれただけ。
だが、関係ない。
彼の思惑も、その道が悪であるかどうかすらも、関係ないのだ。
彼の与えてくれた新たな力が、世界が、あまりにも輝いていて、生まれ変わったのかと思える程に世界が違って見えた。
それがあまりにも暖かくて、美しく、そして二度と手に入らない物だと思っていたからこそ、それを与えてくれた彼についていくのだ。
そう、これは恩返し。
もはや生きる価値を自分にも、世界のどこにも見い出せなかった自分に、彼が与えてくれた光に対する恩返し。
だから彼は強要はしない。
自分はついていくだけだ。それが一人も欠けずに五人いただけ。
「その為に戦う。お前達はそれを愚かだ、間違っていると叫ぶのか」
射抜くようなフォンの瞳。
そのあらゆる反論を否定する言葉に、思わず言葉がつっかえる。
それがたとえ悪の道でも。
許されないであろうことであっても。
自分たちは、自分の大切な「友」と「恩人」のために戦う。
それを否定する言葉など、出てくるはずもない。
悪いことは悪いことだ。
そう断じることは簡単だ。確かに簡単だ。何せ、間違いなくその通りなのだから。
だが、そんな言葉で終わらせてしまっては、今までの自分たちの行動すべてすらも否定されてしまう。
彼等もまた、大きな犠牲よりも大切な人のために戦ったから。
勝ち目がないと言う戦いに、勝たねばならぬと立ち向かって言ったから。
そして、それを勝ち取ってきた者たちなのだから。
「解りました」
その覚悟を聞き、渡が口を開く。
相手にも自分たちにも、譲れない想いがある。
自分のそれを断てれば、相手のそれが立たず。そして、それの逆もまた然り。
もしもそれがぶつかり合うと言うのならば、もはや戦うしか道はない。
彼の戦いの多くはそうだった。
種族の争い以上の、心と心のぶつかり合い。
だからこそ、彼はここで立つ。
「そうなる運命にあると言うなら、その鎖を僕たちは解き放つ。それだけだ!!」
拳を握り、そしてバッ!!と手を前に突き出
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