第六章 Perfect Breaker
勇猛の戦士
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」
脳内に聞こえてくるウラタロスと良太郎の声に、不満ながらも従うモモタロス。
その内で、ウラタロスの発言は実に的を射たものだった。
「もっと彼・・・その・・・・軽いノリじゃなかったっけ?」
「うん・・・今じゃまるで別人だ」
小声で話し合うアリシアとフェイト。
そうしながらも彼から視線をそらさず、それぞれのバルディッシュを握りしめている。
そして、ティアナが口火を切る。
「あなたがこれ以上抵抗せず、我々の元に来ると言うのであれば、これ以上の攻撃はしません。投降してください」
まずは、勧告。
最後通牒とでもいうのか。あくまでも時空管理局執務官である彼女は、まず相手のその意思を確認せねばならない。
だが
「断る」
「そう」
フォンの短い即答に、ティアナも用意していたかのようにサラッ、と言い切る。
そして
「では次です。この戦力差では、あなたに勝つ見込みはないでしょう?それでもまだ戦うと言うのですか?」
そう。
フォンの得ている「完全」は、おおよそ「敵を倒す」ということには向いていない。
見極の完全は、何かというと「生き延びる」術だ。
戦いにおいて優位に立つことも可能だろうが、一番力を発揮する方法ではない。
この人数相手でも、彼は見極め、躱し、倒されることはないだろう。
だがそれでも、相手を倒すだけの地力がないのだからどうしようもない。
相手の体を崩し、柔術の要領で倒すこともできるだろうが、決め手にはなりにくいのだ。
攻撃や防御の数値を、全て「見極める」という行動に降ったのがこの完全である以上、彼に負けはなくとも勝ち目もない、ということだ。
「愚問だな」
だが、それでもフォンは答えた。
三白眼の様に半分閉じられた眼が、どんよりと周囲を見渡した。
「お前らも良く言うだろう。勝てるかどうかわからない。でも、勝たなきゃいけない。戦わなきゃいけない。そんな戦いがある、と。俺にとって、この戦いとはすでにそういうものだ」
そういって、短く息を吐き漏らす。
フォンという男は、もともと活発な男ではない。
様々なことを見抜き、洞察力が優れ、そしてそれゆえに孤立してしまった男だ。
故に、何をしようとも結果がある程度分かり、そしてそれ故に興奮も期待も何もない。
セルトマン達の出会いから、その道の世界を知りだんだんと明るくなっただけであり、これが本来の姿。
だが、そんな彼に戻っても、昔と違うことが一つある。
「俺には守らねばならないものがある」
コール。加々宮。アライア。オフィナ。
彼等は戦いに散っていった。その思いは、ずれがあっても一
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