第六章 Perfect Breaker
狂気の笑い声
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「やったか?」
ジリ、と、翼刀が蒔風の倒れている場所ににじり寄っていく。
途中までは普通に接近していたが、ここにきて急に足取りが重くなった。
蒔風まで、残り5メートル。
だと言うのに、その距離が二十倍もあるように感じる。
「やった・・・のか?」
再び口にする。
今度は疑問の意味が強い。
この男は、これだけのプレッシャーを倒れているままで与えられると言うのか。
だがそれでも止めは刺さねばならない。
気は進まないものの、そうしなければセルトマンからの魔力供給で傷は癒えてしまうからだ。
意を決して、五メートルを詰める一歩を踏み出す。
瞬間
《俺のクラスはアサシンだ――――》
「ッッッ!!!!」
最初に言葉を交わした時の、そんなセリフを思い出して即座に振り返っていた。
だが、そこには誰もいない。
当然だ。倒した男は、今目の前で倒れている。
首を戻し、再びそこに倒れている蒔風を見据える。
ぐったりと腰から倒れ、脚を投げ出しているその姿にある種の安堵を覚えた。
この状態で反撃などありえない。
そう、彼が油断した瞬間。
ドッッ!!
「ぐゥッ!?」
心臓目掛けて、重い一撃が叩き込まれた。
目の前の、倒れたままの蒔風が、白虎釵を手にして腕だけを突き出している。
「な・・・・・」
「やはりいい反応をする。突き刺さった瞬間に身を翻し、心臓に刃が到達するのを防ぐか」
声がした。
その声は、自分の背後から。
目の前の蒔風を踏みつけ、胸から白虎釵を抜いて振り返る翼刀。
そこにいたのは、間違いなくアサシンのその姿だった。
「暗殺者が敵にその姿をさらし、しかもそのままで死ぬと?」
「まさか・・・こいつは」
胸を押さえ、ヴァルクヴェインの力で何とか止血だけは済ます翼刀。
先ほどの蒔風を見ると、ぐったりして倒れていた所に一本の剣が転がっていた。
「白虎・・・?」
「そうだ。本来は使役獣なのだがな、どうやら勝手が効かないらしい」
十五天帝に宿る使役獣。龍虎雀武・獅子天麟。
今の状態の蒔風ではどうやら使えないらしいが、それでも蒔風の姿を取らせて身代わりくらいには使えるようだ。
「うん、案山子としては十分に使えたから上出来」
「くそ・・・一瞬の操り人形かよ」
「と、いうより身代わりの術だな、うん。にしても精度に欠けるな。心臓を一突きにできねば意味がないし」
そういって、「天」と「地」を抜いてだらりと腕を降ろす蒔風。
どうや
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