第六章 Perfect Breaker
狂気の笑い声
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う。
会話からして、この女―――――
「それにしても、強いですのねぇ・・・・」
「・・・まあな。で?」
「ああ、いいですわ。どんな怪我でも生きている。どんな無茶でも無事でいる。どんなことをしても、簡単に死なない、壊れない!!素晴らしいですわ!!だって―――――どんな看病しても、あなたは絶対に壊れない!!」
ヒクッ、とショウの口元が吊り上る。
もちろん、面白そうにではなく、後ずさりそうな足を抑えての引きつった笑みだ。
「今までのご主人様はダメでしたわ。み〜んな私の看護で治ってしまうんですもの」
「・・・はぁ?」
「ダメなんです!!治るのは良いんです。でも、私は看護し続けたいんです!!だから、健康でいるのはいいけれど、健康でい続けるご主人様なんて耐えられない!!」
「げ」
「だから、私が管理するんです。大丈夫ですよ〜、絶対に死なせませんから。あなたはベッドで楽にしてればいいのです。全部私がやります。私が看護します。弱っていくあなたを励まし、元気づけ、そしてそのすべてを管理してさしあげますわ!!」
(こ、こいつ・・・・)
おそらく、この女はそんな看護を繰り返して何人もの人間を殺してきたのだろう。
殺している、という自覚があるかどうかわからないあたり、さっきの似非シグナムよりもたちが悪い。
ショウのその予測は正しい。
この女は、これまで仕えてきた主人の看護をし続けてきた女だ。
それだけを生きがいにしていた女だ。
だが、主人が回復することは喜ばしいがそのままでいるのは耐えられない。
自分の元に帰ってきてほしい。私が全部のお世話をしたい。
だから、また怪我や病気を与える。
都合よく倒れればそれでよし。
そうでないときは、自ら仕組んだ。
食事に微量の毒物を混入
家具の固定を緩めて事故の誘発
ある時には自分から襲い掛かったことすらもある。
そうしてこの女は、実に3人の人間を苦しめてきた実績がある。
一人目は2年で死んだ。
慣れてきたので、二人目は9年生きた。
最後はかなり長引いたが、12年で壊れた。
そして、その総年数23年の間に彼女が起こした傷害及び殺人未遂の数は実に9000を超える。
この数は、一日一回以上仕掛けないと到達できない数だ。
「さぁ・・・あなたの看護をさせてください。いつまでも、いつまでも・・・あなたの身体を、私に預けてェ!!」
女の手が伸びる。
ショウとの距離は20メートル。
だが、ショウはその場から転がって即座に回避した。
(チッ、ま〜た厄介な奴に目ェつけられちまったな、おい!!!)
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