第六章 Perfect Breaker
狂気の笑い声
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な戦いぶりはここにはない。
だがそれにも終わりは来る。
つまり、ショウが目的地にたどり着く時だ。
それは似非シグナムが斬られる時であり、この戦いが終わる時だ。
無論、それは彼女もわかっていることだ。
最初は簡単に斬られてくれないこの男に興奮した。
嗚呼、このクズ野郎となら、最高に最悪な斬りあいが出来る!!自分が斬って、しかも斬られるなんてこと、同時に思い知れるなんて!!
さあ、さあさあさあ!!
暴漢のように襲い掛かり、痴女のように悩ましく、外道のように斬りあって、下衆のように大笑いして、餓鬼のように血を舐めて、バラのような艶やかな血で彩って、死に化粧の中で死にましょう!!
だけど、この男の顔を見てだんだんとわかってきた。
コイツには、私を斬る気はあるくせに斬られるつもりはないらしい。
斬られる覚悟はあるようだけど、そんなことは断る。そんな顔だ。
「何コイツ。一人だけ斬ろうっての!?自分だけ気持ちよくなろうっての!?ダメダメそんなんじゃァダメなんだ!!私は斬りたいんだ。斬られたいんだ!!あんたはどっちもやられなきゃぁぁああああああああ!!!」
悲鳴を上げる。
耳を劈くような声に、ショウも思わず顔を苦しげにしかめた。
だが止まらない。
無理矢理ゴリ押すように脚を踏みだし、似非シグナムに向かって突っ込んでいく。
そして
「喝ァッッッ!!!」
一喝。
その一発の声に、似非シグナムの身体がビクンと振るえた。
何もこれは、心情的なものや脅しではない。
彼のいつも放つ、主力技である波動砲。
それを声に混ぜて発したのだから、それほどの威力はなくとも、これは言わば「一喝(物理)」と言えるものだ。
「取ったァ!!!」
動きが止まり、追って来ていた連結刃の動きが鈍る。
この一瞬の一撃。
否、ショウの握った魔導八天の後を、他の七剣が追従する。
故に、正確には八撃。
ショウが一振りすれば、それに続いて残りの刃がこの女を切断する。
そのはず、だったが
「大声だしてぇ・・・踊ろうぜェ!!」
中指を立て、舌を出し
そう叫んだ似非シグナムが、右手に握った柄を振り上げた。
瞬間、地面にたるんだワイヤーが引き締められ、一斉に主の元へと集結していく。
当然、ショウはそれを踏まないように駆けてきたはずだ。
だと言うのに、その足は掬われて
「ッ!!」
「弾けてイっこーぜぇ!!!」
何とか体制を整えたそこに女の一撃が叩き込まれる。
その一撃も、大したものだった。
引き寄せられた連結刃は、剣の状態に戻るでもなく彼女の足元に束になって詰まれただけだった。
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