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世界をめぐる、銀白の翼
第六章 Perfect Breaker
奇怪接敵
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て通過することなく絡み合って、そこでクルクルと回っていた。
そこでその先端から光のロープともいえるものが伸び、滅茶苦茶に回った挙句に翼刀の身体を拘束してきたのだ。しかも、そのロープは教室中に張り巡って、蜘蛛の巣のように翼刀をその場に固定する。

「まさか」


まさか

この炎は、自分を窓に向かわせるため。
そして、向かったらそこに喉を狙う一投。


まさか

炎はあくまで喉を狙い一撃で終わらせるための布石。
そう思って自分は止まった。


まさか

だがまさか、今まで喉を狙った攻撃は―――――



「――――――雷」

壁の向こう、廊下から声がした。
くぐもってはいるが、間違いなく蒔風の物。


「旺」


そしてここまで言えば、やることは解っている。

この男、絶対の一撃のために
あの一瞬、翼刀を油断させて縛る為だけにわざわざ喉を狙うなどという小技を



「砲」

「ヴァルク――――」


直後


ゴッ―――――バァゥッ!!!


轟音がした。




形容のしようもない。
もはや光とも思えぬ程の雷の閃光は、アサシンの上下に構えられた腕から放たれている。

荒れ狂い、爆ぜ、万物に浸透して破壊を実行するその雷は、教室を破壊した、では済まされない。


壁、天井に机や椅子は当然、その瓦礫すらも破壊しつくして吹き飛ばす。
アルコールランプによる炎など、真っ先にその轟音で掻き消えた。

そして当然、縛り付けられていた翼刀にはそれを回避する術はない。




砲撃が止まる。
その先の攻撃は、まさしく地獄の跡であった。

その一教室は完全に吹き飛び、残ったのは床しかないと言う有様。
その床も黒こげで、まるで焦がしたトースターの上であるかのようだ。


その上を、アサシンが歩く。
翼刀の身体ならば、死んだとしても消え去ってはいまい。死体を確認しなければ、この男は安心しない。


土煙、などというものはない。
何せ壁がなくなり風通しはいいのだ。そんなものは即座に消える。


蒔風は特に油断せず、しかし何の感情もないように周囲を見渡し死体をさがす。
その中で翼刀が立っていただろう場所を見つけてから、無くなってしまった壁の方へと歩いて外を見る。


此処に死体がない、ということはあの砲撃に吹き飛ばされたと言うことだ。

その教室からも、大聖杯は見える。
それをチラリとみて、顎に手を当て考える。



目的は大聖杯の破壊だ。
あの男はそれを阻もうとしていたからこうしてしまったが、無理に殺しに行く必要はない。


「―――――吹っ飛んで行ったか?」

なら問題はない。

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