第六章 Perfect Breaker
赤銅 対 飛鳥
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このままでは指が千切れる。
脇で押さえ、胴体が挟まっていたら間に合わなかったとゾッとしながら、彼女は指の力を抜いてその内部へと落ちていく。
暗闇の中でも難無く着地し、唯子は周囲を見渡した。
暗い。
だが完全な暗闇ではないらしい。
外の方が明るかったため今はまだ目が慣れていないが、次第にボンヤリと見れるようになってきた。
どこから入ってきているのは知らないが、光の強さは十分ではないにしろ自分の周囲を把握するくらいには見える。星明り程度の光だろうか。
そして、そこに一つの気配を察知する。
「・・・・・・・」
そいつはマントを羽織っていた。
というよりも、大きな布をかぶっている、と言った方がいいだろう。
フードのように頭に被さり、身体にそれを纏っている。
ローブのようなものだが、ローブだと言うにはいささか上等さに欠ける。
何せ最初に言った通り、そいつが被っているのはただのボロ布にしか見えないからだ。
そこにあったのがこれしかないからこれを羽織っている。
そんな感じの風体に、唯子は小首をかしげた。
今までの敵は、どんなものであれ身なりはきちんとしていた。
戦闘服であったり、制服であったりしたものの、みすぼらしい服装の者は一人として存在していない。
その中で、そいつだけはそんな恰好でやってきた。
ローブが揺れ、手首と足首が見えた。テーピングなのか知らないが、包帯が巻かれている。
だがそれも三か所。
残る一か所には、何もなかった。
巻かれていない、というわけではなく、単純に巻くべき腕がないと言うだけのこと。
そのサーヴァントは、現界した際にその最高の肉体コンディションで召喚されるはずのそいつは、最初から肉体を欠損した状態で召喚されたのだ。
「・・・あなた、だれ・・・?」
思わず問う。
幽霊のように佇み、しかしそこに確実に存在するそいつは、ゆっくりと言葉を漏らす。
「私は・・・――――」
to be continued
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