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世界をめぐる、銀白の翼
第六章 Perfect Breaker
赤銅 対 飛鳥
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られず



「ンっ―――――!!」

赤銅の声が漏れる。
ズブリと、飛鳥の剣は炎と共に彼女の身体を貫いていた。

その行動に、飛鳥は驚く。
その身をもって受け止めたとして、この炎の大元は切っ先にある。剣を止めても、その小さな光が剣を離れて地上に落ちれば、この行動は全くの無意味。


だが

彼女の背から突き出た剣には、一切の炎も光も纏われてはいなかった。


「な」

「飛鳥の技、その力。全部、受け止める」


それが私のできること。

かつて、暴走するままに彼を殺してしまった。
彼は私を止めようとして、満足に戦うこともせずに斃れてしまった。

最初は彼。
ならば、今度は私だ。


しかし、そのダメージは深刻すぎる。

如何に感情を収束した翼人であっても、飛鳥のあの炎を体内に留めては、持って数秒の肉体だ。
否。そもそも、そんなことをしたところで、あの炎に抗えるのは十秒が限度。体内に押し留めては、その十秒も微塵程に削られる。


しかしそれでも、彼女はその幾秒のために持てる技能の全てを尽くした。

荒れ狂う体内の炎は、すでに彼女の下半身を焼いている。
貫かれたのは腹。そちらから炎を移したのは、彼女の持つ念動力。

その全身の力を根こそぎ動員し、剣に纏われた炎を体内にとどめる。
そして、残されたわずかな力。


あらかじめ剣に込めていたので、発動は容易い。
後は、この剣を振るうだけで終わる。


「飛鳥、避ければ世界が消えるって言ったけど」

だが、それは間違いだ。
飛鳥は知らなかった。そう、翼人には―――――


「翼人に、人質は効かないのでござる」


穏やかな表情で、そう告げる赤銅。


腹を貫かれながら、その半身を焼け失いながら、Χブレードが動き始める。
力なく握られたそれは、到達さえすれば発動する。


ゆっくりと動く剣。
ゆるゆると、震えながら、力なく迫るそれ。

だが飛鳥はそれを払うことも、跳び退いて回避することもしない。

その速度は遅いながらも、二人はほぼ密着している。
到達には一秒と掛からないはず。なのに、その緩慢な動きは実に八倍の長さを感じる。


そして


全て常世 開く鍵(Χブレード・グレート・ワン)


その開放にしては、とても小さく、覇気のない、暖かさに満ちた声でつぶやいた。

コツン、とΧブレードの刃が、飛鳥の腹に触れる。



その接点から溢れ出た物が、穏やかに力の奔流となって彼を包み、そして必然的に、密着していた彼女も巻き込んでいく。



「行こう、飛鳥。ここはもう、私たちの舞台じゃないから」

「・・・・そうだね。僕らはもう、終
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