第六章 Perfect Breaker
赤銅 対 飛鳥
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た。
冗談でもない、と思った矢先だが、赤銅は考え直す。
そりゃそうだ。彼は最初から冗談などいっていなかったのだから――――――
「君が回避をすれば、この世界が破壊される」
それは「世界」とはいってもあくまでも「この星」という意味での世界だ。
そう。この一撃は、物理的にそれを破壊するだけの熱量を蓄えている。
そして言う。
だから、全力でそちらも放てと。
君の力なら、この身を乗り越えてくれるはず。そう信じた彼の瞳に、だからこそ迷いはない。
そして彼女も、それに応えねばならない―――――
「・・・・一つ、飛鳥に言うてないことがござってな」
ぼそりと、小さく独り言ちる赤銅。その声は飛鳥には聞こえていない。
だが、赤銅は少し空を見上げると、俯いて自らの感情を噴き表させる。
「開翼せしは赤銅の色――――」
バンッ
帆を張るように、赤銅の翼がしなりを起こして開かれる。
コォ・・・と薄く光ると、ぼんやりと彼女の顔が照らされた。
「人の抱きし想いは無数。我らが翼はそれを紡ぐ」
天は炎に照らされているにもかかわらず、彼女の周囲はその光にされされない。
彼女を包む光は、彼女自身の放つその鈍い赤のみ。
ぼんやりとしたそれにもかかわらず、天からの灼熱の光に侵食されることはなく。
「我が翼の奉るは人の業。人世に巣食いし、七の大罪が一」
その光は弱いながらも、徐々に力を増していくようだった。
形容することも難しい。
仮に例えたとして、「太陽に潰されぬ蛍の光」など、言ったところで見ない限りわかるはずもない。
彼女に身に集まる感情。
猛る想いは、彼の剣にも負けぬもの。
そして両者の力が頂点に達した時、最初に動いたのは観測者―――――!!!
「羽撃猛る、始祖の炎・・・・・!!!」
力むように言葉を発し、ガッ!!と腕を伸ばして切っ先を向ける飛鳥。
その剣から腕へと炎がまとわれ、上腕部から炎の翼が開かれる。
「今此処に飛鳥の眼を以って、此の観測の末の破滅を与えん!!!」
切っ先は嘴に
腕は身体に
そこから猛る炎は翼に
そしてこの身は、終焉を告げる火の鳥に―――――
「飛翔・・・・・」
赤銅は動かない。
だが彼の身体は止まらない。
この名を告げれば、放たれるのは間違いなく最強の一撃。
溜めこまれた推進力は爆発し、途方もない力と共に彼女に向かって彼自身が突っ込んでいく。
だが彼女は動かない。
蓄えられたエネルギーは大きいが、それを使おうとする動作もない。
ガソリンを溜めたところで、エンジンをかけ
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