第六章 Perfect Breaker
赤銅 対 飛鳥
[3/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
女が、死に方を望むなんてことは許されない。
だけどそれでも、これだけは譲れなかった。そうしなければならない。命をかけねば―――今度こそ、そう言った命の使い方をしなければならない。
誰かが自分にその資格はないと罵倒しても、例え自分自身がそれを許せなくとも、彼女にはそれをしなければならない義務がある。彼にその姿を示さねばならない。たとえその対象が、彼自身であってもだ。
なぜならば―――――そうでもしなければ、彼が自分の為に命を懸け、そして散らしてしまったことが無意味になってしまうから。
自分を救おうと命を懸けてしまった彼が、彼の命が、その想いの全てが、本当に無駄になってしまう。
自分がどう無意味に生き、無価値に命を散らし、歴史にどのような言葉で記されようとも、その彼の想いだけは決して穢すことなどできない。
確かに赤銅の翼は悪魔だ、災厄だ、と指を指されて叫ばれる存在。
だがそれを、救おうとしたものがいた。命を懸けて。愛を賭して。彼女を解放し、救い出そうとした哀れな男がいた。
それは彼の人生でも、彼女の人生でも叶うことがなかった。
結局最後に彼女は兵器として暴れまわり、彼はその彼女に殺された。
最強の男は現実の前で無残に散り
最強の女は現実を奪われて果てた
彼等はその強大な力を持っていたにもかかわらず、運命の前に倒れ伏した哀れな一組。
どれだけ強大な力をもとうとも、彼等はお互いを救うことすら叶わない。
その身に宿した圧倒的な力を以ってしても、その努力がは報われることなく、悪魔の如き思想に敗れて散る。
けれど
確かに
それは彼の人生でも、彼女の人生でも叶うことがなかったけれど
決して、報われた結末などにはならなかったけれど
まだやれることがあるなら、今。
愛した彼のその命懸けを、最後の最期で無駄なんかにさせない。
破壊と破滅しかない私だけど、それでも、それでも出来ることがあるのだとしたら
「私は――――あなたを救いたい。飛鳥――――!!!」
澄みきった声。
迷い無き瞳。
その意思を表すように、真っ直ぐに激突する赤銅の翼。
彼女が、その身に秘められた様々な力を使うことはない。
飛鳥もまた、その全ての能力を発揮することはないだろう。
両者ともに最強。
二人の力は同じものではないけれど、ぶつかり合えばまさに互角。
だとすれば
残るのはただ、純粋なぶつかり合い以外にありえない。
各々二人が、自らの力を猛り走らす
観測者は自らの中に眠る終焉のそれを
翼人は自らの背より吹き出る破壊のそれを
構えるは、剣。
必殺を放
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ