第六章 Perfect Breaker
赤銅 対 飛鳥
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れは彼らの戦いの次元を知らないからである。
達人同士の戦いで、ただの睨み合いがとんでもない攻防のやり取りであったり
将棋の何気ない一手が、相手を倒す必殺の一手だったりするように
この単純のぶつかり合い一つとって、この二人の戦いの異常性がわかる。
何せここでぶつかる彼らの衝撃で、一番近くの山脈では雪崩が起きているほどなのだから。
重ねて言うが、ここは上空15キロメートル地点。
しかも加えると、“地上”15キロではなく“海上”15キロメートル。
エベレストですら10キロにも及ばないと言うのに
しかも彼等はその地上からもさらに離れていると言うのに
彼等は上空での戦いで起こる影響を、はるか遠くの地上に振りまいているのだ―――――!!!
「相も変わらず、デタラメでござるな・・・・」
「君もな。それにしてもここを戦場にしてくれて、本当に良かった」
地上で戦えば、ただでは済まない。
かつて彼が生きていたまでに破壊された世界は五つ。六つ目の世界と共に彼は死んだわけだが、その五つの内二つは二人の戦いの余波で消えてしまっているのだから―――――
「この世界は密度が濃い。なかなか破壊されることはないだろう」
「飛鳥」
「うん、わかってるさ。いつまでもこうしているわけにはいかない。君にはこの身を倒してもらわないといけないんだから」
申し訳なさそうに、飛鳥が目を伏せる。
かつて彼女に自分のことを手に手にかけさせてしまった彼だ。
それを、仕方ないとはいえまたさせてしまうのが、彼にが申し訳なくてしょうがない。
しかも、彼女相手に手加減をすることもできない。
令呪がそれを許してくれない。
「行くでござるよ・・・・たとえこの身が、心が摩耗しようとも、吾が飛鳥のことを助け出す」
それでも
赤銅の瞳に陰りはない。
彼が召喚されたときは、悲しかった。
また戦わねばならないのかと。
自分は呪縛から解放された。令呪のことではない。自らに眠る、破壊衝動からだ。
だが、今度は彼がこの世界を破壊する一団の手駒にされている。
余りにも皮肉的で、そして残酷。
だがそれでも、赤銅の瞳からはすでに迷いは晴れている。
そう。
かつて、彼が自分の溜めに命を懸けてくれたように。今度は自分が、命を懸ける。
自分の命に価値はない。あるとして、それはきっと捨て駒のような扱いを受けてしかるべきだろう。それが、兵器として生まれ、人として生き、しかし悪夢の如く暴れまわり、そして災厄として封じられた、血と怨嗟に満ちた自分の末路であるべきだ。
その死に様は哀れであり、惨めであり、無様であるはず。
そんな彼
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