アージェント 〜時の凍りし世界〜
第三章 《氷獄に彷徨う咎人》
舞うは雪、流れるは雲@
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からも見えた。後、裏口から二人逃げた。多分妹と使い魔や。そっちはシャマル達に追わせるから二人は暁人さんの確保に集中してな?』
『……それほどの相手だと?』
『なのはちゃんとフェイトちゃんを同時に負かしたんや、油断なんかできへん。それに、シグナムは放っとくと「手出し無用!」とか言いそうや。』
『………分かりました、ヴィータにも伝えます。』
それ程なら是非一騎討ち、とか考えていた矢先に釘を刺されたシグナム。残念とは思うが主の命なら仕方ない。そう頭を切り替えて、今度はヴィータに念話を繋ぐ。
『ヴィータ、その男はかなりの手練れらしい。二人掛かりで確実にーーー』
しかし、最後まで言い切るその前に、壁をぶち抜いてヴィータが吹き飛んで来る。慌てて受け止めるシグナム。ガードそのものには成功していたのか、外傷は見えない。
「お前が飛ばされるか。やはり何らかの罠を……」
「違う。」
「……何?」
「あいつ、真っ向からアタシとぶつかって押し切りやがった。」
「何だと!お前が押し負けたのか!?」
ヴィータとグラーフアイゼンの一撃の重さはシグナムを凌ぎ、並みの魔導師なら防御の上から弾き飛ばす程の威力を持つ。それを真っ向から打ち破るとは、尋常では無かった。
と、弾き飛ばした当の本人が壁の穴から姿を見せる。先端に氷を纏わせたハボクックを槍にし、油断なく二人を見据える。その様子に、特にダメージがあるようには見えない。
「罠も用意はしてあるけどな。」
不敵な表情で彼は言う。
「折角だ、リハビリに付き合ってもらう。」
態度には余裕を見せているが、その瞳は氷の様に冷静で、冷徹で、冷厳に、彼我の状況を分析していた。
「………来ないのか?」
暁人のその挑発に最初に動いたのはシグナムだ。無論、暁人の態度が誘っているのは知っている。が、ぶつかってみなければ見えない事もある。
腰のレヴァンティンが音高くカートリッジを排莢、電光石火で抜き放たれる。
「《紫電一閃》!!」
シグナムの十八番、紅蓮の焔を纏った斬撃が暁人に迫る。だが、暁人の対応はシグナムが動いたその瞬間から行われていた。
ハボクックがカートリッジを排出すると共に、それを持つ右腕を大きく後ろに引き戻す。白銀の閃光が穂先を包み、やがてそれは、一条の光として撃ち出された。
「《白夜一閃》!!」
赤と白、焔と氷、相反する二つの属性が激突し、凄まじい衝撃波が周囲をまるごと吹き飛ばす。本来武器同士の衝突で得られる金属音は、砲撃でも叩き込まれたかの様な轟音に掻き消され、だれもまともに聞くことは叶わなかった。
「……なるほど、強いな。」
相手の強さを認めたシグナムが、ぽつりとそう、呟いた
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