悪魔新聞
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
「このまま死ぬんじゃないだろうな」
「コンコン」
ドアがノックされる。
男が時計を見る、午前0時だ。
「コンコンコンコン!」
ドアがしつこく叩かれる。
「ホテルにまで来るのかよ!い、いやだ、もう、もう歳を取りたくない!」
「しんぶーんー」
「ドガァー」
ドアが潰れて新聞が投げ込まれた。
「ぎぁー助けてくれ!もう嫌だぁ」
投げ込まれたのは悪魔新聞、それは読んだ者の生命力を奪ってゆく、書かれている記事は明日の記事だ、そしてそこに書かれた悲劇の記事は必ず悪魔によって遂行される。
男の体が金縛りにあって動かない、そして悪魔新聞が飛んできて男の目の前で浮かびながら記事をめくって行く。
この前まで若かったその男の髪の色が見る見る白髪になっていった。
「この家?」
道路脇の家の前で麻美がなぜか自分の上向きの鼻を人差し指でさらに豚鼻にしながら聞く。
「うん、この家から力の残像を感じる」
そう言って美樹も負けじと人差し指で上向きの鼻を豚鼻にした。
その様子を近所の人がいぶかしげに見てヒソヒソと何やら話している。
「お嬢ちゃん達、その家に何かようかい?」
中年の噂好きそうな女が近付いてくる。
2人が豚鼻のままふりかえる。
「お嬢ちゃんそれ……何かのおまじない?」
2人は豚鼻をやめる。
「この家で何か変わった事無かったですか?」
逆に質問する。
女はあることないこと色々と教えてくれた。
「急激に歳を取る……」
麻美は無意識に豚鼻にして考えていた。
今度は美樹は豚鼻には付き合わずにアゴに手をやり考える。
「多分……淫魔サッキュバスね」
チャイムを鳴らしてしばらく待つとドアが開き高齢の男が出てくる。
「何か用ですか?」
老人はしわがれた声で尋ねる。
「最近なにか変わった事がないですか?私たちはその……悪霊退治のような事をしてます」
老人は涙を流しながら今までの事を話した。
話によれば悪魔新聞の記事ではもうすぐ自分が交通事故にあって死ぬという、だから今日は絶対に家から出ないのだと。
「プップププーー」
大型トラックが突っ込んでくる。
「あああ!」
麻美は固まってしまっていた。
「危ない!」
美樹は麻美を抱き上げジャンプする。
トラックの頭上を飛び越え着地する。
「ボカーーン」
けたたましい音と共にトラックが老人の家に突っ込んだ。
「プーーーー」
トラックのクラクションが鳴り続けていた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ