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歌集「春雪花」
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 空よどみ

  憂きぞ降らせし

   時雨なる

 落ちし涙の

    夕の寂しき



 また雨…まるで憂いでも降らすかのような時雨は、心の中まで憂いを降らす…。

 夕暮れのただ中では、まるで涙が注ぐかのように錯覚し…寂しさだけが染み渡る…。


 必要のない私は…どこへ行こうか…。



 秋雨に

  色づくもみじ葉

   侘び濡れて

 変わらぬ想いぞ

   打ちにけるかな



 秋の雨に気温も下がり…紅葉もその葉を紅く染めてゆく…。

 葉に降りかかる時雨…項垂れて、私のように自信なさげに見えるのは…私の勝手か…。

 葉を打つ雨音は、変わらない私の恋心を嘲笑うかのように響く…。


 彼を想うこの心も…いずれは散り逝くものなのだろうか…。




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