応接室の応酬・2
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いんで、俺の指示で公開を止めたんだが……」
ちなみにこれは真っ赤な嘘。そもそも俺が作るように指示したんだから内容を知らないハズがない。
「情報の出所は?」
「さてね。奴も情報提供者を守る位の義理はあったんだろうさ……口を割らねぇんだよな〜これが」
これまた嘘。情報の出所は提督の知人であるクルツ提督からだ。作戦立案の元になった情報を、提督が知らないハズもない。
「ところで……この映像の中で語られている事は真実なのか?」
「さて、ただの一工作員でしかない我々には何とも」
「ほ〜ん、この期に及んでシラ切るかい。なら、この映像は俺の一存で全世界に配信させてもらうが構わねぇよな?」
そう言い放った提督に、明らかに焦りを見せる2人。事の真偽はともあれ、いくら化け物を倒すためとはいえ秘密裏に核攻撃を画策していた等という話が出回れば、アメリカ政府への影響力は莫大だ。そしてアメリカ国民をはじめとする世界的世論が非難轟々、アメリカの信用は失墜するだろう。
一部の国会議員が国の意思を決めてしまう日本と違い、アメリカの世論というのは時として政府を覆す程の影響力を発揮するのだ。事実、WWUやベトナム戦争、湾岸戦争等は国民の厭戦ムードの高まりを受けて政府が方針を変えた場面が複数あるのだ。折しも、最近変わったばかりのアメリカ大統領は暴言やビッグマウス、強引な政治主導で最近の大統領の中では最低レベルに不人気だ。ここでトラック島民を見殺しにしての核攻撃、なんてスキャンダラスな話が出てしまえば、それこそ発足したばかりの政府が大混乱に陥るだろう。この提督、その辺りまで見越して青葉に動画作製をさせていたのだ。
その上、ブルネイ国王には万が一の保険のために島民保護の名目で病院船を出させていた。非常時だったとはいえ、他国が人道支援を目的に派遣した病院船が核攻撃で被爆した等という事になったら、スキャンダルどころか国際問題である。間違いなく、世界のリーダーシップを取ってきたアメリカの権威は地に落ちたハズだ。それだけは避ける為に核攻撃を踏み留まらせようと、提督が国王に直談判したという背景がある。
「さて、俺も気が長い方じゃないんでね。この映像、この場で全世界に配信させてもらおうか」
「いや、流石にそれは……」
「おんやぁ?さっき『ただの一工作員でしかない我々には何とも』っていったのはそちらさんだぜ?なら止める権利も当然発生しないよなぁ?」
言質を取る、というより人の揚げ足を取ったような話をする提督。明らかに相手をバカにしつつ、その自由を封じている。
「しかし、その映像は我が国の国益を多大に損なう可能性があります」
「だってこれ、眉唾モノの話なんだろ?なら突っぱねればいい。『こんな物は出鱈目
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