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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
転生3・忘却、そして・・・
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こちらは彼女が受け取ったものと一緒のようだ。
ジアーデに促されるままにテーブルに行こうと踵を返したところで、背後からシャツの裾をひっぱられる。
「持ってほしい」
チョウキ(と言ったか)、小柄な女性がカウンターを指さす。
そこにあった皿は、どう見ても彼らが受け取ったものの倍はある。
何かの木の実と野菜の山だった。
「重いのだ」
「そりゃそれだけ乗ってればな・・・」
仕方なく液体の入ったグラスをカウンターに置いて大きな皿を片手に持つと、彼女は代わりにグラスを運んでくれた。
二人仲良くテーブルに着くと、ジアーデが口元を猫のようにして微笑んでテーブルの真ん中に置かれていた匙立てから金属製の匙を手渡してくれた。
「仲がよろしいにゃあ、自分で持てないわけじゃにゃいのに」
「う、うるさい! それより、これからの事だが」
バルジェンとチョウキが椅子に座るのを待ってジアーデは切り出した。
「記憶云々は正直、どうしようもにゃいし、解らにゃいまま周りから刺激しても戻らにゃいと思うから。まずは冒険者登録から始めるにゃ」
「いやまて、何故冒険者登録からなのだ」
ジアーデの提案に、チョウキが疑問を挟む。
ジアーデはトカゲの肉をナイフとフォークで器用に解体しながら軽快な口調で言う。
「きょうび所在不明な奴が出来る仕事なんて冒険者くらいにゃ。記憶が戻るまでは一人でいるのも生活に困るだろうし、冒険者なら管理人にさざ波のしずくを上げれば誰でもなれるしにゃ」
「誰でもではないだろう。冒険者になるには少なくとも一人で旅ができるだけの、モンスターから身を守る程度の戦う技術は必要だ」
「シードッグどもはあれでいてそこそこ強いにゃ。それを瞬殺したんだからそれなりに強いんだと思うけどにゃ」
「彼は船乗りだ! 戦士でも武闘家でもない。戦闘要員ではなかったんだぞ!?」
「おかしいにゃあ・・・。あれは武闘家の動きだったと思うんだけどにゃ・・・。戦闘要員でしょ?」
ジアーデがバルジェンを見ると、彼はわからないという風に肩をすくめてポッチャデコーンを口に運んで白く濁った透明な液体で流し込んだ。
「おかしいにゃあ。ジアーデの目は節穴じゃないんだけどにゃあ」
ジアーデがバルジェンを見る。
彼は小首を振りながら答えた。
「そう言われてもな。そもそも自分が解らないのに」
「じゃあダーマの神官に聞くにゃ! 職業の適正が解るにゃ!」
チョウキがため息をついてグラスをあおる。
「それは冒険者登録を済ませて一人前のレベルに達した冒険者に対しての話だ。登録もない冒険者でもない者に教えてくれるわけないだろう」
「じゃあとにかく登録するにゃ!」
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