第28話「ユイとスクワラとエリザと……2」
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取った。
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テトはケーキとクッキーへ鼻を近づけてヒクヒクとさせたかと思うと、俺を一瞥してから美味しそうにクッキーを頬張り始めた。
こういう時の彼の嗅覚は信用できるので、俺も出されたショートケーキを一口サイズしてからパクリと……。
「……美味しいっ」
そういえば、ここ最近は薬を抜くためだとか何とかで病院食や果物しか食べていなかったから、久しぶりの御菓子というか糖分増し増しのスイーツだ。
この体になってから甘い物が異様に美味しく感じられるから、意識してても顔がフニャっとふやけてしまうし、フォークがケーキと口の間を忙しなく行きかうのを止められない。
「そんなに美味しそうに食べてもらえると、作った甲斐があるわ」
「うん。すごく美味しい!」
「お代わりは、必要?」
「欲しい!」
ふやけたのは顔だけでなく頭も相当にふやけているのだろうか、エルザとの会話で気を付けていた言葉遣いが崩壊し、お代わりの提案に対して脊髄反射で言葉が出てきてしまう。
これでは見た目相応な子供だ。ダルツォルネとの対話から侮られないよう言動に注意していたいというに、これでは台無しだ。
紅茶を飲んで口の中や頭に広がっていた甘さをリセットして、落ち着かなけれ……あっ、二個目はチーズケーキだ!
「はい。そこの子にもお代わりを用意したわ」
「ありがとうっ」
空になった皿に残っている欠片を舐めとっていたテトは、追加で出てきた追加のクッキーに尻尾が千切れんばかりに左右に高速で振りながらクッキーへと突撃していく。
俺の前にもチーズケーキが置かれると、食べようとする前に顔にクリームでもついてしまったのか、エルザがナプキンで俺の口周りを拭いてくれる。
「まるで別人だな」
「??」
大人しくエルザに世話をしてもらっていると、スクワラが小さな笑い声と共に俺を見ながら呟いていたので、意味が分からず穏やかな顔でこちらを見ている彼を眺めていたのだが、拭いづらかったのだろうかエルザに顔の向きを強制的に修正させられる。
なんか、最近の俺ってこういう事されるのが多くなってる気がする。
それよりも、顔を拭われることで結果的にお預け状態だったので「よし」というエリザの言葉と同時に、出されていたチーズケーキへ挑みかかる方が重要である。
食べられる内に食べておくとは、野生に身を置くものとしては常識である。野生ってなんだ?
そうして、エリザにお世話されながら食欲に従って飲み食いすること十数分……
「……ごちそうさまでした」
「はい。お粗末様でした」
冷静(?)さを取り戻したのは、4つ目のケーキを食べ終わったあたりであった。
とは
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