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キコ族の少女
第26話「お気に入り登録」
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ても天空闘技場以前の情報が出てこない事と関係はあるのか?」
「流星街で暮らしていたからだと、思います」
「流星街だと?」


 探るような視線を向けてくるダルツォルネに、俺は真正面から応えるように視線を投げ返す。
 嘘は言っていない。ただ幻影旅団の元で暮らしていたという真実を、語ってないだけである。
 俺の情報がない理由を聞いたのだから、それに対して簡潔に答えただけなのだ。どこも問題はないのだ。


「お前は―――」
「おっそーい!!」
「ひゃん!?」


 俺への更なる質問を投げようとしていたダルツォルネの言葉を遮るかのように、ドアが乱暴に開け放たれる音共にエミリアと同じ年齢ぐらいの少女の声が部屋中に響いた。
 人の気配を感じては居たものの、まさかノックもなしに入ってくるとは思わなかったので、思わず肩をビクつかせるとともに口から見た目相応の小さな悲鳴が零れてしまう。
 慌てて口を塞ぐも時すでに遅し、聞こえてしまったらしい侍女の二人から生暖かい視線を向けらてしまい、そこに含まれる感情を察して、頬が熱を持ったように熱くなるのが分かった。


「エミリアが連れてきた子、早く連れてきてよ!」
「ボス。まだ話を聞いてる最中で――――」
「あっ、この子がそうなの!?」
「……初めましt―――」


 ダルツォルネと会話をしつつも彼の返答を遮るかのように言葉を重ねながら俺へ近づいてくると、顔を見るためにしゃがみこんだ少女は、原作で見ていた顔より幾分か幼いが、ノストラードファミリーで組頭以上の重要人物ネオン=ノストラードだろうことが一目で分かった。

 先ほどの会話から、俺に対してそれなりの興味を持っているようなので、初対面の相手への基本として挨拶の為に頭を少し下げたところで横から迫ってきた手に、頭をホールドされてしまう。
 もちろん手の主は目の前にいるネオンであり、彼女は俺の頭を固定するとグイッと顔を近づけてきた。
 可愛らしい顔が目を輝かせながら、少し俺が前に顔を出せばキスできてしまう距離まで迫ってくるのだ。異性だ同性だなど関係なく、顔を真っ赤に染めてしまった俺は普通の反応だと言いたい。
 決して、ロリコンではないのだ。

 甘酸っぱい香りがするなとか、柔らかくてスベスベした手だなとか、まつ毛が凄い長いなとか……

 そう、そんな不埒な事は思ってはいないのだ。


「わー、きれーい。本当にダイヤみたいな輝き方をするのね」
「あ、あの……」
「髪の毛もすっごくキレイ。こういうのって漆黒っていうんだっけ?」
「……ぁぅ」


 右目をいろんな角度から見るために頭をシェイクされるかのように振られ、髪の毛を見るためにクルクルと独楽のように回転させられて、新しい玩具に夢中になる子供のように…
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