第19話「出会い-2」
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を意思の力で押し留めるのに多大な労力を消費することになったが、そんな内心の騒ぎなどを表情からは微塵も感じさせずに、エミリアはユイを説得するために感情の揺れで開いた隙間から甘い言葉を流し込んでいく。
とはいえ、悪意や敵意があってのことでは当然ないし、そんな意思があったとすればユイの相棒であるテトが即座に察知していたことだろう。
エミリアはユイに対して、二つの目的があって接触したと言っていたが、実際は三つの目的があって接触をしており、なおかつ公開した二つの目的は、三つ目の目的を隠すための建前であり、達成するための過程に過ぎない。
彼女の最終的な目的というのは、ユイという存在の“観察”である。
実際のところ、エミリアがユイという存在を知ったのは、ユイが闘技場での初戦闘で80階を言い渡されてから乗ったエレベーター内であった。
テトの行動に慌てる彼女を見て大半の者は「何で、こんな子供が?」と思ったのだろうが、エミリアは「手ごわい相手だ」と幾分か警戒したのだ。
物心ついた時から両親を師匠として念を習得してきたエミリアにとって、自分より年下の子供が表面上は軽いパニックを起こしているというのに、”纏”は静かに乱れなく全身を流れているという異様さは十分に警戒するのに十分な理由になりえる。
それに、エミリアが天空闘技場に来た理由は、今の実力がどこまで通用するのか力試しの為にという物であったので、自分より若いのに念が使えるユイの存在は、彼女の記憶に深く刻まれることになった。
案の定。
ユイは蹴り一つだけで連勝し続けるという戦績を叩きだし、素顔が分からないというゴシップ性も併せて、周囲からの注目を一気に集めることになった。
当然ながらエミリアも注目する一人として稼がせて貰いつつ、蹴り一つだけとはいえユイの試合を見て研究をしていった(相手が弱すぎて、収穫が殆どなかったのだが……)。
そして、ユイVSヒソカ戦の研究中に、偶然にもユイの正体を知ることになった。
自分と“同じ”、子供であり同性なユイに、少なからず親近感を持っていたところに、追加として自分と同じ民族だという情報を手に入れ、戦闘技術を抜きにしても彼女への興味が一層強まった。
以降は、自然と接触できるネタはない物かと探している最中に、ユイに懸賞金が賭けられていることを知り、一足早く200階へ達していた自分の対戦スケジュールを調整して、ユイの対戦相手として登録するチャンスを掴み。
ようやく、出会えた。
対面してみると、ユイという存在が少し不自然なところに気が付いた。
年齢に見合わない念の熟練度は今更として、矯正されきれてない無防備さが見えるのに、時折見せる妙に冷たい雰囲気。
そんなユイを知ってなお消えない知りたいという感情に、小さく
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