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キコ族の少女
第11話「リベンジ-3」
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化した右足で、首を絞めていた男の腕を蹴り上げた。
 咄嗟に“堅”による防御をとったようだが、蹴りを食らった腕は有り得ない曲がり方をすると、俺への拘束を解いた。


「ぐぅっ!」


 突然の反撃に、奴の反応が遅れたのを逃さず、俺は拘束から抜け出し左拳へ“硬”を移動させて左ストレートを男の腹部……傷がある場所へ自分へのダメージを無視して打ちこんだ。
 反動で肩から鈍い音がするとともに、左腕の感覚がなくなる。
 だが、今はそんなことよりも目の前で体を”く”の字にして苦しんでいる奴へと意識が向く。


―――コロセッ!コロセッ!コロセッ!


 頭の中で、憎しみの感情と共にそんな言葉が響き渡る。
 そんな感情と言葉を俺は受け入れて、無茶をしたために残り少なくなったオーラから更に搾り出しヒスイを何体か生み出すと連続して奴へと撃ちだす。


「甘く、見るなぁ!!」


 余裕がなくなっているのか、奴は荒い言葉を吐きながら向かってくるヒスイを打ち落とすためにナイフを構えるが、地面から飛び出てきたハクタクが両足首を貫いたことで体制を崩した。
 迎撃を免れたヒスイ達は胸―――心臓―――目掛けて縦一列に特攻し、連続攻撃のように自壊しつつも一点を攻撃しつづけて、最後には貫いた。

 ゴフッと大量の吐血後、奴は身体を硬直させたまま前のめりに倒れこむと、ピクリとも動かなくなった。
 それと同時に、俺の中にあった憎しみの感情が跡形もなく消え去り、糸が切れたかのようにペタンとその場に座り込んだ。
 前世を含めても初めての殺人を犯したが、極度の疲労と貧血が正負どちらの感情と思考を打ち消してしまっていて、今は何も感じることができない。
 ただ、相手を殺したという事実だけが俺の中にあった。

 ふと、奴の首筋に見たことのあるトランプが刺さっているのが見え、角度から放たれたと思われる方角へと視線を向けると、予想通りの人物―――


「やぁ」


 ヒソカが、トランプを両手で弄びながら近づいてくるのが見えた。
 いつもは近づいて欲しくない存在No1の男なのに、さっき殺した男と同種の存在なのに、良くも悪くも付き合いのある知人が……この世界での、俺の日常を構成する存在が傍にいるという安堵感が俺を包み込む。
 そんな安堵感から、今まで感じていなかった両腕の痛みや、失血による吐き気や眩暈等が俺を眠らせようとしてくる。
 抗えず、そのまま前のめりに倒れこむ俺を、いつのまに傍まで来たのかヒソカが片手で支えた。


「随分と手酷くヤられたねぇ」


 文字通り満身創痍な俺に、何が楽しいのかヒソカは気味の悪い笑みを浮かべながら話しかける。
 しかし、現在進行形で出血し続けていた右腕から、血がなくなっていく喪失感が消えてい
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