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キコ族の少女
第6話「初仕事-1」
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も能力者が正面の陽動に乗らず、警備をし続けてもシャルとマチが対処する予定だ。


「くれぐれも、家を壊さないようにね」
「ああ、分かってるよ」


 シャルの最終確認に、ウボォーが聞いているのか聞いていないのかの返事を返す。
 それに溜息一つすることで色々と自分を納得させたシャルは、俺とマチを連れて裏門に向かい大きく迂回しながら移動をはじめ、ノブナガたちは表門へゆっくりと歩を進めていった。



――――――――――

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――――――

――――

――



ドゴーーーーンッ

 言葉にすれば、そんな爆音が表門から響いた後、無数の銃声と人の叫び声が聞こえてきた。


「……家、壊してないよな?」
「さあ?」
「あの二人は……」


 シャルが額を手で押さえる姿を見てると、将来ハゲないか心配になる。参謀という役職は大変そうだ。
 と、右目に小さな違和感を感じた後、今まで見えていた景色からハクタクからの視界へと変化した。
 見えた風景は、見張っていた二人のうち一人が一言二言、話をしてから持ち場を離れて何処か……たぶん表に向かっていくのが映った。


「シャル!マチ!保管庫にいた二人のうち一人が持ち場を離れた!」
「現場慣れしていない素人か?」
「裏門の奴等も表に移動したし、チャンスだね」
「うん」


 ”絶”で気配を消しながら、俺達は裏門からお宝のある地下一階へと移動していく。
 移動をしている間にも、表門の方向から悲鳴と銃声が鳴り響いて、生死を賭けた分の悪すぎるギャンブルをしているの分かる。

 悲鳴が聞こえるたびに、人一人の命が消えているのだと思うだけ自然と体が震えを起こす。
 こんな世界に身をおいて、もうすぐ1年が経つ。
 前の世界―――前世では、戦争の記憶が風化し始めている日本で生きてきた純粋な日本人の俺であったら、醜態を晒しつつ確実に逃げ出していただろう。
 こうして一見して冷静でいられるのは、ノブナガとの修行のお陰か、はたまた感覚が麻痺し始めたのか。

 そんな思いを抱きながら移動していたのがいけなかったのか、すぐ近くから感じたオーラへの反応が数瞬遅れてしまった。


「っ―――!?」
「ユイ!!」


 数瞬前まで気配を感じなかった背後から伸びた腕で首を絞められ、身体を羽交い絞めにされてると、すぐに後ろへと引きずら……いや、何かに飲み込まれていく感覚。
 首を絞めている腕を両手で剥がそうとする事で僅かに出来た隙間を利用し、視界を後ろへと向けて状況を確認する。
 そうして視界の端に映ったものを見た瞬間、自分が何に飲まれていくのか理解した。

 壁に飲み込まれてる……!!
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