暁 〜小説投稿サイト〜
真田十勇士
巻ノ百九 姉妹の絆その五

[8]前話 [2]次話
「このことは」
「はい、では」
「その様にしていきましょう」
「今は」
「そう、今は」
 あくまでという言葉だった。
「そうしていきます、ですが」
「それでもですね」
「それは今であり」
「これからはですね」
「また時が来れば」
「何としてもです」
 茶々は諦めていない顔で言った。
「わかっていますね」
「お拾様を関白に」
「是非にともですね」
「早いうちに」
「そうなって頂く為に」
「そうです」
 だからこそというのだ。
「よいですね」
「はい、わかっています」
「ここはです」
「是非そうしていきましょう」
「今は止まっても」
「やがては」
 周りの女達も言う、大坂は今は止まったがそれでもだ。秀頼を早いうちに関白まであげるつもりだった。
 だからだ、茶々も言うのだ。
「ですから今はお江の言葉を受けますが」
「それでもですね」
「今だけで」
「また動きましょうぞ」
「必ず」
「そうです、金も銀もあります」
 朝廷に働きかける為のそれもというのだ。
「ですから
「使えるものはあります」
「公暁の方々にも帝にも差し上げ」
「そうしてですね」
「早いうちにお拾様を関白に」
「そうしていきましょう」
「そうです、近いうちにまた動きます」
 こう言ってだ、そのうえでだった。 
 茶々は今は止まるつもりだった、しかしそれは今だけでまた朝廷に秀頼の官位を上げるつもりだった。
 だがこの動きは幕府もわかっていてだ、家康は崇伝にこう言った。
「大坂の金や銀じゃが」
「実に多いですな」
「そしてその金や銀を使ってじゃ」
「右大臣殿をさらにですか」
「官位を高めようとしておる」
 このことを言うのだった。
「尚もな」
「左様ですな」
「官位は高くともよい」 
 家康はそれ自体はよいとした。
「お拾殿はな、しかしな」
「あまりにも早くですな」
「それはよくない、早い昇進はじゃ」
「かえって不吉」
「しかも竹千代より高くなるとな」
「流石にそれは」
「幕府としては不都合じゃ」
 だからだというのだ。
「それはな」
「だからですな」
「抑えてもらいたいが」
「お江様の文で今は止まられましたが」
「しかしじゃ」
「あの方は止まらぬ方です」
 崇伝も茶々のその気質をわかっていて言う。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ