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レインボークラウン
第四百八十話

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              第四百八十話  二人で塾に
 華奈子は美奈子を待った、美奈子はいつも通りのペースで靴を履いてそのうえでいつもの歩く速さで華奈子のところに来てにこりと笑って言った。
「じゃあ今からね」
「うん、行くのね」
「そうしましょう」 
 塾までというのだ。
「いつも通りね」
「歩いてなのね」
「駆けることはないわ」
「落ち着いてってことね」
「だって焦って急いで駆けて行って」
 そしてというのだ。
「こけたり信号無視したり急に出て来た車に気付かなかったり」
「そうなったら危ないから」
「だから余計にね」
「落ち着いてなのね」
「行った方がいいわ」
「安全第一ってことね」
「そうよ」
 その通りという返事だった、とはいってももう校門のところまで二人で歩きはじめている。スタートは切っているのだ。
「それが一番いいわ」
「ううん、今のあたしはね」
「だからこうした時こそね」
 気持ちが逸る時こそというのだ。
「落ち着いてよ」
「行くべきなのね」
「そう、どっちにしても塾も魔法も逃げないでしょ」
「そう言われたら」
 華奈子は美奈子の今の指摘に確かな顔で返した。
「そうよね」
「そう、だからね」
「ここはなのね」
「いつものペースで行きましょう」
 塾までというのだ。
「そうしましょう」
「美奈子がそう言うと」
 双子の片割れの彼女がというのだ。
「あたしもね」
「いつも私の話聞いてくれるわね」
「だって美奈子だから」
 双子の片割れだからというのだ。
「そのお話聞かないでどうするのよ」
「私もよ」
 美奈子の方もこう返した。
「華奈子の言うことならね」
「いつも聞いてくれるわね」
「だって双子だから」
「それで今も聞くのね」
 華奈子は自分から言った、そうして。
 自分から美奈子の手を握ってそのうで塾に向かって歩きだした、美奈子もその華奈子の手を握り返した。


第四百八十話   完

                   2017・9・13
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