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ドリトル先生と春の花達
第三幕その三

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「何かね」
「何か?」
「何かっていうと」
「うん、さっき学生さん達にも話したけれど」 
 景色を見つつ微妙なお顔で言うのでした。
「やっぱり寒いね」
「日本の三月にしてはね」
「少し寒いね」
「確かにね」
「そうした感じだね」
「そうだね、神戸は大阪に比べて寒いけれど」
 それでもというのです。
「その中でもね」
「寒いよね」
「去年や一昨年に比べたら」
「どうにも寒くて」
「何かそれが嫌だね」
 見れば先生はスーツの下にセーターを着ています、コートも羽織っています。そのうえで皆と一緒に歩いています。
 その先生にです、老馬が言いました。
「先生寒くない?」
「少しね」
「ああ、やっぱりね」
「私達も寒いしね」
 ガブガブも言います。
「どうにも」
「うん、この寒さはね」
 ダブダブは先生を見て言いました。
「春には思えないところがあるね」
「日本の春にしては」
 ホワイティもその寒さを感じ取っています。
「確かに寒いね」
「もうそろそろ暖かくなっていいんじゃ」
 チーチーが思うにはです。
「それがまだだね」
「もう少しもう少しと思ってて」
「それで今に至るね」
 オシツオサレツも二つの頭で今の寒さについて語ります。
「もうすぐ四月なのに」
「あとほんの数日で」
「それでこの寒さは」
 ポリネシアもどうかといったお顔です。
「少しないわね」
「まだ冬だよ」
「朝は特にね」
 チープサイドの家族も微妙なお顔です。
「冬のままだよ」
「氷も張るしね」
「お花は咲いていても」
 トートー道の端の蒲公英を見ています。
「寒いのは変わらないね」
「ううん、桜も咲くの遅れる?」
 最後に言ったのはジップでした。
「ひょっとしたら」
「有り得るね」
「やっぱり?」
「うん、寒いとね」
 どうしてもというのです。
「桜は咲くのが遅れるからね」
「そうだよね、そうしたお花多いけれど」
「桜もだよね」
「寒いと咲くのが遅れるね」
「そうなるね」
「だからね」
 それでというのです。
「今年は咲くのが遅れるかもね」
「じゃあ和歌会大丈夫?」
「その頃には咲いてる?」
「あの和歌会桜が必須だけれど」
「梅や桃もあるけれど」
「何といても満開の桜達の前でやるし」
「何といっても桜がないとね」
 それこそとです、皆で言います。
「本当に出来るものじゃないから」
「桜が咲いてもらわないと」
「どうしようもないよ」
「うん、僕もね」
 先生はまた言いました。
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