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太陽は、いつか―――
外伝・もっとも穢れ無き物語
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すでに使いつくしている。これ以上の援軍は望むべくもなく、彼ら二人で挑んだところでこの場を乗り越えることはできず、万が一が起こったとしてもその先に勝ち目はない……はずだった。

始まりに現れたのは、復讐者だった。高笑いとともに現れ、それをきっかけにさらなる英霊が現れる。
竜の魔女が嗤い、聖職者のなりそこないは義を持って、戦乙女は戦士の下へ。
(いかづち)は地を蹂躙し、変なのは存在理由とは別に剣を振るい、極女将はその手綱を握る。
大うつけの筒は火を噴いて、人斬りの口は血を吹いて、忍びは辛らつに言葉を吐く。

幼子ですら駆け付けた。気ままに人を喰らう鬼ですら駆け付けた。守護者もどきサーヴァントもどきですら駆け付けた。
人類に絶望した彼ではこれは不可能だっただろう。諦めず人類に希望を持った少年だったからこそ、英雄も反英雄も英雄ですらないものですらも、駆け付けた。どれだけの覚悟があったとしても、そんな集団に勝てるはずがない。

かくして、廃棄孔は閉鎖した。これはその後の、ゲーティアすら倒れた後の、蛇足である。



=☆=



敗北した。ゲーティアは敗れ、同じ存在である俺達もこのまま敗北するのだろう。結局オワリのあるイノチに価値はないという考えは正しくなかったと言われたようで、本当に何も言えなくなる。価値がないんだったら、あの時の……

(あれ、なんだったっけ)

思い出せなかった。始まりの出来事を。ああ何故だ、何故こうなったのか、何故この道を選んだのか、何故今へたどり着いたのか、

「何故、このような結末へ至ったのだ……」
「あら、分からないの?」

ふとした呟きは、一騎の英霊に拾われた。そちらを見ると、踊り子がいる。踊り子の英霊、真名は確か……マタ・ハリ、だったか。
マタ・ハリ。マルガレータ……マルガ。その名前を聞くと、何か覚えがあるような、そんな違和感を抱く。

「分からないというより、忘れてしまったのかしら?」
「忘れた……何か、知っているのか、英霊」
「ええ、知っているわ。だって私、貴方と共に過ごしたんですもの」

共に過ごした。それは人間として生きていたころのことだろうか。だが魔神へ至るものが英霊と共に過ごすなど、あるはずがない。そんな状況に至って見抜かれることなく、生きていられるなど……元々、そんな予定ではなかった?

「最初は分からなかった。でも、その瞳には見覚えがあった。どうしてそうなってしまったのか分かるから、なおさら辛いのだけれど……思い出して、カズヤ」

カズヤ、和也。呼ばれた名で、摩耗していた記憶がよみがえる。蘇ったがゆえに、今見られている状況がとてつもなく恥ずかしい。

「ああ、そっか……そうだった、んだな」
「ええ、そうだったのよ。たぶん、原因は私……
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