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太陽は、いつか―――
外伝・もっとも穢れ無き物語
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るか?」
「へぇ、ペルシャの大英雄か。確かに名前としては信用できる」

アーラシュ・カマンガー。アーラシュ・ザ・アーチャー。その身を犠牲として戦争を終わらせた英雄。確かにその名前であれば、この状況を乗り越えようとしていると言われても信用できる。

「信用してもらえたんならよかった。で、あれは何だ?」
「大したことは分かってねえが、アサシンのマスターがああなった」
「アサシンの……ってことは、あれはアサシンの仕込みか?」
「いや、それはないだろう。間違いなくアサシンは殺したし……あの最後でまだあがきを続けるとは思えねえ」

勿論、それはランサーの感覚に過ぎない。人間ではありえない何かが発生していることだけは間違いない以上、信用するのは難しいのだが、それでも。

「まあ、そう言うならそうなんだろうな」

アーチャーはそれを信じた。自らの目で目の前の相手の言うことであれば信用できると判断して、その前提で話を進めていく。

「だとすれば、原因として考えられるのはマスター方か、他のサーヴァントってことになるんだが」
「マスターの方、ね……」
「何か心当たりがあるのか?」
「普通じゃない魔術は使っていた。あれは何なんだ?」

サーヴァントである自分相手でも十分以上の効果を出していたであろうそれのことを思いだし、原因がそこにあるのではないかと自らのマスターへ問う。問われたバゼットは少し考えてから。

「あれは虚数魔術……極めて珍しい魔術属性・虚数によるものです」
『だとすれば、それが原因ということはなさそうですね』

割り込むように、虚空から女性の声が。当然ながらランサー陣営は警戒の色を示した。

『唐突に失礼しました。アーチャーのマスター、フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアです』
「ユグドミレニアの。貴女も聖杯戦争へ参加していたのですね」
『姿も見せない無礼、お許しください』
「いえ、お構いなく。そちらの事情については存じていますので」

お互い最低限の会話だけで良しとし、先ほどの話を再開させる。

「虚数魔術は未だに謎多い魔術属性ですが、あのような変性を起こすものではない……はずです」
「なんだ、自信なさげじゃねえか」
「実際、自信はありませんから。あれはあまりにも特殊すぎる」

そもそも、サーヴァントを十二分に殺しうる魔術というもの自体が特殊であり。観測不能な虚数という属性であり。そういう観点で見れば、おかしな存在への変性もなくはない‥…のかもしれない。そんな意味を含めての曖昧な表現。

「だとすれば、現状それはないと考えて進めるのが正解かな?」
「だろうな。はっきりわからないものをいつまでも相手にし続ける意味は薄い」

分からないのであれば、分からないまま相手にするしかな
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