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太陽は、いつか―――

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め返すと、柔らかさと温かさが帰ってくる。固い人形でもなく、冷たい死体でもなく、カルデアによって半受肉されて間違いなくそこにいる。
大切にしたいと思った人がそこにいて、また名前を呼べることがうれしくて、無言でこうしているだけでも心が満たされて、再び共に過ごす日常が輝いて見える。

それでも、これだけは言わなくちゃいけない。絶対にもう一度あって伝えるのだと決めていたことと、マルガが覚えてくれているとわかって改めて伝えたくなったことの2つを。



「マルガ、あの時はありがとう。あの日々と、あの最後があったおかげで、今、人間らしく生きてる。―――――――大好きです」
「カズヤ、あの数日間をありがとう。生前得られなかった宝物をくれて、こうして別の場所でも覚えてられて、再会できて、とっても幸せよ。――――――大好きよ」



 =☆=



これにて、彼らの物語はおしまいだ。実に自分本位な終わりを迎えたものだろう。
確かに、一度は触媒なしの相性召喚で召喚された身なのだから、同じことを行って同じ現象が起こることもあるだろう。そうはいっても、他の候補もいくらでもいた。その中からマタ・ハリを呼ぶなんて、ご都合主義と言うほかないだろう。

それだけではない。そもそも彼が聖杯戦争後に送った人生そのものが、本来ならありえないようなご都合展開だというほかない。あまりにも、彼らにとって都合のいい点が重なり過ぎている。見世物としては二流三流どころではない低さだろう。

だが、だからこそ。『物語』としては価値がないが、『人生』としては大きな価値を持つ。

女は、太陽はいつか沈むものだ、と言った。そして男は、太陽を再び昇らせて見せた。太陽はいずれ沈むのが道理だというのならば、再び昇るのもまた道理だろう。そんな(さま)をただの人間が見ることが出来た人生なのだ。価値がないわけがない。

だからこそ、この言葉を送って終わりにしよう。

ハッピーエンド、と。

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