96美汐と真琴の悪夢の終わり
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た誰かの恨みが、天野にも、美汐にも、祖母にも降り掛かった。
ここでも開門の儀式が行われ、真琴を抱いた美汐と、呼ばれた祐一が神域に同行する。
「見ていて、お婆ちゃん、これが私達の結婚式なのよ、神様の所に嫁ぐ晴れ舞台なの」
もう祐一への愛は失われ、妖狐と関わる恐ろしさを身に沁みて知った美汐だが、祖母の前では幸せな花嫁を演じる。
「いやじゃっ、行かんでくれっ、わしもこんな世は懲り懲りじゃ、わしも連れて行ってくれい」
泣いて縋るお婆さんだったが、開いた門の奥からお迎えが現れた。
それは美汐の幻術だったのか、神域からのお迎えだったのかはもう分からないが、美汐の祖父である妖狐、お婆さんと心も体も魂まで呼び合う愛しい人が、門まで迎えに来てくれた。
「ああっ、貴方っ、貴方っ」
美汐から離れ、駆け寄って愛しい人に縋るお婆さん。その姿はこの世での穢れを払われ、若かりし頃の瑞々しい肌や姿を取り戻した。
美汐の祖母も、この時点で生身の肉体を門番に消され、現世での命を失った。
その魔法を見た天使の人形も、この神域にあゆを引き込み、穢れた肉体を浄化し、この小さな空間の中でなら、あゆと会話し、また一緒に遊べるのだと知った。
それを名雪の夢の中で構成して神域を再現できるのも後から知り、他人の命を食わせて穢れきった体も、名雪の夢の中でなら生かし続けられるのも後に知った。
それまでは佐祐理から託された一弥の霊体しかトモダチも兄弟もいなかった天使の人形に、あゆや真琴、家主の名雪が加わった。
魔物に食われてしまった魂でさえ、この神域に入ると再生され、肉体は与えられなかったが、美汐と真琴の魂まで再生される魔法を見て、完全ではないが、覚えた。
周りで見守っていた一族も老婆も、お婆さんが若返り、約束の妖狐が出迎えて二度目の嫁入りをする光景を見た。
穢れて食われて夜の使い魔と成り果てていた美汐まで、その穢れと体を払われ、魂が再生された。
妖狐の刻印が入って神域に入滅する権利を得ていながら、魂を食われてしまった気の毒な少女も、肉体を消されながら、魔物も浄化され消えるのを見た。
今までの一族で魔物に食われたのを実感し、自ら神域に入ったものはいなかったが、こうすれば魂は救われたのだと、この近代にようやく知らされた。
老いた狐の亡骸も穢れを払われ、食べられてしまった魂も再生。肉体は再生されなかったが、若々しい人間状態の真琴が見えるようにされた。
こうして祖母と祖父のカップル、祐一の左右に美汐と真琴が寄り添い嫁入り、神域へと入っていった。
「美汐、真琴…」
蘇った二人を見て、自分ももうこの世から消えて、この二人と異世界で添い遂げられるのなら、今の肉体を捨てて一緒に旅立とうと思った。
しかし、一同が昇天していった後、祐一の
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