第6話 受け継がれる覚悟
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「……ハッ!」
「トァアッ!」
先手必勝。そう言い放つかのように、ヴァラクレイザーとサブノルクは拳を構え一気に仕掛けた。鋼鉄の拳が唸りを上げ、帝王の首を狙う。
「……フフ」
――そんな彼らを前に。ギルフォードは、避けることも防ぐこともせず。2人の拳を真っ向から受けてしまった。
金属同士が激突し、この荒野に衝撃音が響き渡る。その振動と拳に伝わる確かな手応えは、キッド達に勝機を感じさせていたのだが。
「……!?」
「こいつ……!」
渾身の鉄拳を浴びてなお、微動だにしない「甲冑勇者」の帝王。その力の一端はすでに、目に見える形となって顕れていたのだ。
銃弾さえ凌ぐ「甲冑勇者」の装甲。それのさらに上を行く、最上位の「スーパーアーマー」は、他の追随を決して許さない。
キッド達の拳では決定打はおろか――毛ほどの痛みすら、与えられていなかったのだ。
「さぁ、書き換えてみなさい。神たる私の物語に、干渉できるものなら!」
「クッ……!?」
ディアボロトの白銀の拳が、横薙ぎに振るわれた。同時に後方へ跳び退き、2人はその一撃を回避するのだが――その余波が、彼らに重くのし掛かる。
逆らうことなど、許されない。現象が、そう語っているかのようだった。それほどのプレッシャーを纏う鉄仮面の帝王は、嗤う貌を隠して、自らが思い描く「勇敢な若者達」に躍り掛かっていく。
狂笑と共に剛拳を振るう帝王。その一撃に込められた威力は、直に受けるまでもなく風圧で感じられた。
ゆえにキッドもトラメデスも、攻勢に転じることすら出来ず回避に徹している。兜の傍を拳が突き抜けていく度、その余波が彼らの焦燥を掻き立てていた。
「ハァ、ハァアハハハハァハハッ!」
「く、ぬッ……!」
「シッ、ちぃッ……!」
さらに、その攻撃は拳だけには留まらず。矢継ぎ早に飛ぶ回し蹴りが、2人に肉迫して来る。
鈍重なヴァラクレイザーは横へ転がり、身軽なサブノルクは後方へ宙返りしてそれをかわすのだが。
「ハァイ!」
「……ッ!?」
ディアボロトはパワーだけではなく、スピードにおいても彼らを圧倒する性能を誇っていたのだ。
白銀の帝王は、空中で回転していたサブノルクの首を着地する前に掴み、その体を腕一本で投げ飛ばしてしまった。
「ぐ……ぁあぁあッ!?」
紙切れのように吹き飛ばされた先は、ヴァラクレイザーの体が待っている。激しく激突する2人の「甲冑勇者」は、衝撃音と共にお互いを弾き合ってしまった。
「がぁああッ!?」
「ごぉあッ! ――なん、だ、この威力ッ……!?」
――そして彼らの全身に迸る、痛覚5倍の洗礼。それがディアボロトの固有スキルと知らない彼らは、その現象が単
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