第6話 受け継がれる覚悟
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を吐き出す。
「しかし、いくらVRだからといって……!」
「……しょうがねぇ頑固モンだなァ。ま、それがお前の取り柄みてぇなもんだし……ちと前倒しだが、見込みがあるってことで認めてやるとするか」
「……!?」
そして。その呟きが意味するものに、部下が辿り着くよりも早く。トラメデスは鉄拳を構え、単身でディアボロトに猛進し始めた。
高笑いと共に、その挑戦に応じたギルフォードが――白銀の拳を振り上げる瞬間。
「――先任捜査官として、命ずる。絶対に生き延びろよ、キッド・アーヴィングッ!」
「……!」
トラメデスは。キッドという男の、独り立ちを認めた。
――それは、つまり。彼という存在が、自分の手元から離れることを意味する。その意味を悟るキッドは、このまま別れてはならない、と加勢すべく片足を踏み入れ、
「……俺、は……!」
それ以上先へ、進むことが出来ずにいた。
一人前の捜査官として、認められたのなら。一端の潜入班としての使命を託されたのなら。ここで、その命令に反してはならない。
「ぐっ……ぅ、うぅうぅうッ!」
その葛藤の果てに。キッドは、踵を返して駆け出していく。自ら巻き上げた土煙に、己の姿を?き消して。
「トァアッ!」
――そんな彼とは正反対の方角へ、ヴァラクレイザーは鉄拳を振るう。その先に待ち受けるディアボロトの胸板は、それを真っ向から浴びても微動だにしない。
絶対に諦めない、という人間の信念さえ踏み潰す圧倒的スペック。それを思い知らせるかの如く――帝王の拳が猛威を振るった。
「……ま、いいでしょう。戦いを投げ出し、逃げ惑う憶病者に用はありません。私が最期を彩りたいのは――悲劇に散りゆく勇者ですから」
「ごぁあッ!」
白銀の剛拳に打ちのめされ、ヴァラクレイザーの体が砂上に減り込む。辺りに亀裂が走り、トラメデスの悲鳴が地表に轟いた。
……この一撃で、気を失ったのか。彼はそれ以降、立ち上がる気配を見せなくなってしまう。
「おやおや……せっかく残った勇敢な戦士も、これしきでおねんねですか」
腹を何度か蹴り、意識がないことを確かめた後。ディアボロトの興味は逃走したサブノルクへと向けられた。
ヴァラクレイザーの背を踏みつけながら、マントを靡かせ帝王が歩み始める。
「さて……逃げ出す雑魚を狩っても盛り上がりには欠けますが……まぁ、シチュエーション上は彼も勇者の1人ですし。せいぜいいたぶって、悲劇を演出するとしましょうかね」
悲鳴すら上げなくなったトラメデスから、注意が逸れたその瞬間。それが――彼の狙いだった。
「……ッ!」
「ぬ……!」
刹那。突如起き上がり、ヴァラクレイザーは無言のまま最速の拳を打ち放
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