暁 〜小説投稿サイト〜
Darkness spirits Online
第6話 受け継がれる覚悟
[4/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
を吐き出す。

「しかし、いくらVRだからといって……!」
「……しょうがねぇ頑固モンだなァ。ま、それがお前の取り柄みてぇなもんだし……ちと前倒しだが、見込みがあるってことで認めてやるとするか」
「……!?」

 そして。その呟きが意味するものに、部下が辿り着くよりも早く。トラメデスは鉄拳を構え、単身でディアボロトに猛進し始めた。
 高笑いと共に、その挑戦に応じたギルフォードが――白銀の拳を振り上げる瞬間。

「――先任捜査官として、命ずる。絶対に生き延びろよ、キッド・アーヴィングッ!」

「……!」

 トラメデスは。キッドという男の、独り立ちを認めた。

 ――それは、つまり。彼という存在が、自分の手元から離れることを意味する。その意味を悟るキッドは、このまま別れてはならない、と加勢すべく片足を踏み入れ、

「……俺、は……!」

 それ以上先へ、進むことが出来ずにいた。

 一人前の捜査官として、認められたのなら。一端の潜入班としての使命を託されたのなら。ここで、その命令に反してはならない。

「ぐっ……ぅ、うぅうぅうッ!」

 その葛藤の果てに。キッドは、踵を返して駆け出していく。自ら巻き上げた土煙に、己の姿を?き消して。

「トァアッ!」

 ――そんな彼とは正反対の方角へ、ヴァラクレイザーは鉄拳を振るう。その先に待ち受けるディアボロトの胸板は、それを真っ向から浴びても微動だにしない。
 絶対に諦めない、という人間の信念さえ踏み潰す圧倒的スペック。それを思い知らせるかの如く――帝王の拳が猛威を振るった。

「……ま、いいでしょう。戦いを投げ出し、逃げ惑う憶病者に用はありません。私が最期を彩りたいのは――悲劇に散りゆく勇者ですから」
「ごぁあッ!」

 白銀の剛拳に打ちのめされ、ヴァラクレイザーの体が砂上に減り込む。辺りに亀裂が走り、トラメデスの悲鳴が地表に轟いた。
 ……この一撃で、気を失ったのか。彼はそれ以降、立ち上がる気配を見せなくなってしまう。

「おやおや……せっかく残った勇敢な戦士も、これしきでおねんねですか」

 腹を何度か蹴り、意識がないことを確かめた後。ディアボロトの興味は逃走したサブノルクへと向けられた。
 ヴァラクレイザーの背を踏みつけながら、マントを靡かせ帝王が歩み始める。

「さて……逃げ出す雑魚を狩っても盛り上がりには欠けますが……まぁ、シチュエーション上は彼も勇者の1人ですし。せいぜいいたぶって、悲劇を演出するとしましょうかね」

 悲鳴すら上げなくなったトラメデスから、注意が逸れたその瞬間。それが――彼の狙いだった。

「……ッ!」

「ぬ……!」

 刹那。突如起き上がり、ヴァラクレイザーは無言のまま最速の拳を打ち放
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ