第4話 守るべき人
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先を――銃弾が通り過ぎ。その先端から、鋭い痛みが現れてきた。
何が起きたのか、すぐにはわからなかった。キッドは顔を上げ、あたりを見渡し――「あるはずのない事態」が起きていることを、その時になってようやく悟るのだった。
次の瞬間、キッドは弾かれたように輸送車の影に身を隠し、地に伏せる。トラメデスは向かいの瓦礫に隠れ、キッドと同じ表情で「戦況」を見つめていた。
――そう。戦況。
本来ならプレイヤー同士の交流場であり、このエリアでの戦闘行為は、システム上は不可能であるはずだった。
はずだったのだ。
「おいおい……何だ。この、笑えねぇ冗談は」
乾いた笑いと共に、トラメデスは鋭い眼差しで、ルールから外れたこの世界を見つめている。おそらくは、このキャンプ地に件の鎧騎士達が来たのだろうが……そのままロビーの中で戦闘が始まるなど、いったい誰が予測できたというのだろう。
乱れ飛ぶ銃弾、弾頭。
轟く怒号と悲鳴、そして爆音。
戦いとは無縁であるはずの世界は、いつしか……「もう、この世界に安全な場所などない」と言い放つように。射撃音と絶叫で、この異様な空間を作り上げていた。
逃げ惑う者。戦いに向かう者。ログアウトを目指し、失敗する者。あらゆるプレイヤー達の行動と感情が、濁流となり――この仮想空間を席巻していた。
これほどまでにキャンプ地が騒然となっている理由に関しては、鎧騎士達が原因なのだろうと予想はつく。
――だが。彼の脳裏は未だに、目の前にある状況を、受け止め切れずにいた。
「キャンプ地で戦闘が起きてるなんて……どういうことなんだ!?」
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