第3話 仮面の装甲歩兵
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いる。もはや、先ほどまでの威勢の良さは見る影もない。
(……とにかく、今のうちに負傷者を保護します。先任!)
(あぁ、急げ!)
そんな彼女を一瞥し、キッドはトラメデスに耳打ちすると――弾かれるように、廃屋の外へと転げ出る。
「しっかりしろ、絶対に助けるから!」
「……ぅ、ぁあ……いた……い、なん、で……」
そして素早く負傷者の傍に滑り込むと、脇下に手を入れ引きずり始めた。HPこそ大して消耗していないが、かなりの痛みなのか意識が朦朧としているようだ。
――すると。
「……ッ!?」
身を貫くような悪寒が、廃屋を目前にしてキッドを襲う。気づけば彼は、土埃の方角に目を向けていた。
――そして、言葉を失う。
砂塵の中から現れた、鎧騎士達。彼らは無傷のまま、HPが半減しているプレイヤー達の体を引きずっていた。
しかも。プレイヤー達は誰一人として五体満足ではなく、誰もが手足をもがれ達磨のようにされている。……痛覚がリアルであるなら、どれほどの苦痛が彼らを襲ったのか。考えるまでも、ない。
(奴ら……何も武器を持っていない! 丸腰であんなことを……!?)
生きているだけの肉塊と化したプレイヤー達を引きずりながら、鎧騎士達は悠然と歩み続けている。その膂力は、計り知れない。
そして彼らの行き先は――こちらの、廃屋。
「……狙いは俺達だ! アー坊、急げッ!」
「ぃ、やぁあ!」
「くッ……!」
トラメデスの怒号とエリザベスの悲鳴が重なり、キッドの焦燥を掻き立てる。懸命にプレイヤーを引きずり、遮蔽物となる廃屋を懸命に目指すが……このままでは、逃げ切ることは難しい。
「……!?」
――すると次の瞬間。どこからか銃声が響き渡り、鎧騎士達の頭部に弾丸が命中した。
それは……スナイパーライフルによるもの。
「……まだ生き残りが!」
鎧騎士達の注意が、弾道を辿り先程の射線上に向かう。その挙動と状況から、トラメデスは相手チームの生き残りによる反撃であると悟った。
(……もしかすると奴ら、飛び道具は持っていないのかも知れん。「RAO」のキャラとしては考えられないことだが……元が近接主体の「DSO」の没データなら、あり得る話だ。ならば牽制射撃と併せて撤退すれば、あるいは――)
そしてキッドが、鎧騎士達が未だに丸腰である今の状況から、この場を脱する算段をつけようとした――時だった。
『Fifth generation!! Ignition shoot!!』
「……な」
バシネットの騎士が、ベルトのコントローラに手を掛け――緑色の丸ボタンに触れた。すると、彼の
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