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Darkness spirits Online
第2話 仮想世界の戦火
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る算段をつけたり……色々出来るんだよ」
「しかし、仮死薬が使えるのは一度の戦闘で一度きり……か。使い所の見極めが重要ということだな」
「そうそう! さすがあたしのキッド〜!」

 プレイスコアに影響しない、練習場所となるエリアでの戦闘。その渦中で今、キッドはベテランプレイヤーであるエリザベスから講義を受けていた。
 廃屋に身を隠しながら、偶然手に入った新装備について説明を受けている彼。その側では、トラメデスが窓の縁に身を隠しながら応戦している。

「お二人さん。イチャつくのもいいけどさ、そろそろ手伝ってくれよ。なんでさっきから俺一人なんだァ?」
「あぁ、失礼しました。今行きますので」
「ごめんね〜トラメデスさん。キッドが素敵過ぎるせいで、いつまでも話したくなっちゃうの」
「……エリザベス、そろそろ腕を離してくれ。銃が構えられない」
「不公平だぜ……俺もエリザベスちゃんの胸、堪能したいんだがな」
「ふふ、ざんねーん。……エリザベスの全部はね、キッド専用なの」
「おぉおぉ、お熱いこって」

 人前、まして戦闘中であるにも拘らず、大胆に身をすり寄せキッドにアピールするエリザベス。
 その、男の情欲を掻き立てる仕草と吐息を前にして、トラメデスは溜息と共にロケットランチャーを撃ち放った。彼のからかいを前に、キッドはなんとも言えない表情を浮かべている。

 ――すると。

「……ぁあぁあッ!」

「――!?」

 他方から、突然悲鳴が上がった。
 隣の廃屋から、反撃に出ようと飛び出したプレイヤーが――肩を抑えてのたうち回っている。

「……まさか!?」

 それを目の当たりにして、エリザベスは今まで保っていた余裕の表情を一変させ、剣呑な面持ちで身を隠す。その俊敏な反応からは、ベテランプレイヤーとしての彼女の実力が窺えた。
 キッドとトラメデスも互いに見合わせると、頷き合い同時に窓の下へ潜り込む。

「……あんな反応……普通のプレイじゃ、ありえない。『DSO』と同じ、リアルな痛覚が発生するバグがあるっていう噂は聞いてたけど、まさか、ほんとに……!?」

 手にしたアサルトライフルを手に、エリザベスは険しい表情で敵方を見やる。――向こうは、まだ今の事態に気づいていないようだ。
 このままでは痛覚が発生している状態のまま、戦闘が続いてしまう。最悪、痛みに晒され続けたプレイヤーが発狂し、「DSO」の二の舞になりかねない。

「……っ!?」

 エリザベスはその可能性にたどり着き、戦闘を中断すべく指先を滑らせる。
 ――だが。立体メニューバーは、現れなかった。これではプレイヤーと交信するためのチャットも、ログアウトもできない。

 その様子を見ていたキッドとトラメデスは、神妙な面持ちで顔を見合わせ
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