第2話 仮想世界の戦火
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んだよなぁ。女の子なのによ」
――VRゲームは原則、プレイヤーの精神への影響を鑑みて、異性のアバターは使えないようになっている。さらに「RAO」においては、スタイルも基本的にリアルの体型を模したものになる。
つまり……彼女はリアルでもグラマラスなスタイルの持ち主である、ということだ。それを知るプレイヤー達は皆、リアルのエリザベスを夢想し喉を鳴らしていた。
「い〜いオンナだなぁ。さぞや、リアルでもいいカラダしてんだろうぜ」
「かぁっ、たまんねぇな! ――あの坊主、いい思いしやがってよ……クソが!」
思い思いに劣情を催し、粘つく視線をエリザベスに向ける男達。そんな彼らの視線に、当の本人は気づいていないようだった。
「……さて。今日の君の講座は、別の場所で聞こうか。こちらは、俺の知り合いのトラメデスだ」
「よろしくな、ナイスなバディのねーちゃんよ」
「へぇ、キッドの知り合いなんだ〜。あたしはエリザベス。よろしくねっ!」
そんな彼女を庇うように、キッドはエリザベスの手を引きながら、自然な足取りでこの場を後にしていく。彼に導かれるように、トラメデスやエリザベスも歩き出していた。
「……」
――そして。
先頭を歩きつつも、後方を振り返ったキッドの目には。
「ん? どうしたの?」
「……いや、なんでもない」
今朝に見たものと、寸分違わぬ大きさの臀部が留まっていた。彼は、そこにえもいわれぬ違和感を覚えていたのだが……彼女の「正体」を悟るには、至らなかった。
(オイ、いいのかアー坊。確かに美人だが、お前にゃあ大事なオンナがだな……)
(……わかってますよ。彼女は、ゲームのことをよく教えてくれる、親切な先輩。それだけですから)
トラメデスの追及に、キッドは再び顔を赤らめる。
――だが、彼らは知らなかった。否、真には理解していなかったのだ。
ここは仮想空間。現実に限りなく近しい明晰夢の世界であり、現実に出来ないことを体験できる場であることを。
それゆえに、人が本来とは違う自分に、どこまでも「変身」出来るのだということを。
◇
――現実世界の銃火器にはついては、キッドもトラメデスも職業柄、ある程度心得ている。だが、ここはVRFPSの仮想空間。
現実とは勝手が違う所があるのは当然であり、それゆえにゲームの基礎をレクチャーしてくれる先輩プレイヤーの存在は貴重なのだ。
「なるほど……10秒間しか使えない仮死薬なんてもの、戦場のど真ん中でどう使うのか理解に苦しんでいたのだが……」
「そ。仮死薬を使って仮死状態になってる間、そのプレイヤーには流れ弾も含めて、一切の攻撃が通らなくなるの。無敵時間を利用して相手の隙を探ったり、包囲網を抜け
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