第2話 仮想世界の戦火
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るなら自分の身を守り、調査を続行するための武器や装備品に投資すべきです」
「まぁ、一理あるな。だがなアー坊、デフォルトだとリアルと変わらねぇ見た目なんだぜ? ちょっとはアレンジしとかねぇと身バレしちまうぞ」
「ご安心を。身バレして困るほど、友人はいないので」
「……悪かったよ」
トラメデスは珍しく自分の発言を省みて、帽子のつばを摘んで目を伏せる。そんな彼を一瞥し、キッドは手のかかる兄を見ているような表情を浮かべていた。
――普段から気難しい顔をしてばかりいるキッドは、「DSO」事件より以前から、近寄り難い雰囲気を絶えず漂わせていた。それゆえ、「大企業の御曹司」や「誰もが振り向く美男子」でありながら、友人はおろか恋人すらろくに出来た試しがない。
それに加え、「DSO」事件の影響でさらに周囲が自分を畏怖するようになり……もはや、修理屋の店長とベサニーくらいしか、プライベートの話相手すらいない状態なのだ。
だが、当の本人はそこまで気にしていないらしく、澄ました表情のままトラメデスから視線を外す。
……その時だった。
「別に構いませんよ。それは俺が撒いている種ですか――」
「――キッドぉ〜っ!」
彼の言葉に被さるように、女性の声が響き渡ってくる。その声の主が、このキャンプに現れた途端――周囲のプレイヤー達が、「彼女」に注目を集めた。
男所帯のど真ん中に現れた、金髪のショートヘアを靡かせる絶世の美女。OD色のTシャツにチェストハーネスという軽装備である彼女は、その豊満な胸をありのままに揺らしている。
「ヒュー……なんだい、あの可愛こちゃん。いつの間に引っ掛けたんだよ、アー坊」
「……エリザベスか」
その姿に、男性プレイヤーが大半を占めるこの場のギャラリーが、釘付けになっていた。トラメデスも、彼女のナイスバディを前に口笛を吹いている。
キッドが「エリザベス」と呼ぶ彼女は、華やかな笑みを浮かべて彼の元へと駆け寄って来た。当然ながらキッドには妬みの視線が集中するのだが、悪感情を抱かれることに慣れている彼は、まるで意に介していない。
「キッドぉ、会いたかったぁ! もう、昨日は全然ログインして来ないんだから、寂しくて死んじゃいそうだったよ!」
「リアルが忙しくてな。……で、今日も色々と教えて貰えるのか?」
「もっちろん! 教官役ならあたしにお任せっ!」
明朗な声を上げ、キッドの腕に抱きつくエリザベス。その豊満な胸が、鍛え抜かれた彼の右腕に押し当てられていた。
「ヘェ、先輩プレイヤーさんかい」
「彼女には、ゲームを始めたばかりの頃から何かと世話になっていましたからね。この世界でのことは大抵、彼女から教わっています」
「へへーん! どう、凄いでしょ!」
「はぁ〜、大したも
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