暁 〜小説投稿サイト〜
Darkness spirits Online
砲皇勇者ヴァラクレイザー
第1話 クリスマスの怪事件
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」、こと日系三世のトラメデス・N・(イカヅチ)は、新聞の隅にひっそりと掲載された記事に目をつける。
 それは一見、あるVRゲームのプレイヤー数が激減した……という程度の、小さなニュースでしかなかったが。
 トラメデスも、コンピュータと向き合いながら話を聞いていたキッドも、神妙な面持ちを浮かべている。

 ――「Raging Army Online」、通称「RAO」。
 中東の紛争地帯をモチーフとした戦場を舞台とする、アーヴィングコーポレーションが開発したVRFPSである。
 実在する銃の質感や銃声のみならず、硝煙の匂いや砂塵の感触に至るまで、現実(リアル)を追求したゲームであり、発禁となった「DSO」に代わる看板タイトルの一つとなっている。

 その「RAO」でも当然、オンライン対戦が導入されており――リアリティに溢れた仮想空間の戦場に、多くのプレイヤーが沸き立っていたのだが。
 数週間前から――奇妙な事件が起きるようになったのである。

 それは、「DSO」で問題となり発禁の原因にもなった「リアリティ・ペインシステム」が、オンライン対戦中に一定時間だけ作動している――というものだった。

 確かに「RAO」は「DSO」のゲームエンジンを基盤にしており、「DSO」の没データが入っていることもある。リアリティ・ペインシステムが隠されていても、不思議ではない。
 だが当然ながら、そうした没データは通常のプレイではまず見つからない。それに本来、「RAO」にリアリティ・ペインシステムは実装されていないはずだった。

 リアリティを追求しつつも、痛みだけはない。それが、プレイヤー達が安心して「RAO」というゲームに没頭できる理由だった。
 その前提が崩れるような事件が起これば、「DSO」の二の舞を恐れたプレイヤーが離れていくのは自明の理である。他にも、VRゲームならあるのだから。未だに事件を信じていないプレイヤーも多いようであるが、時間の問題だろう。

 先程トラメデスとキッドは、事件に遭遇し現実と同じ痛み(リアリティ・ペイン)を味わった元プレイヤーに事情聴取を行っていた。
 あるはずのない痛みと死の恐怖に震えていた彼からは、断片的な情報しか得られずにいたが……それでも、2人にとっては大きな前進だった。

「システムが作動している時間帯に法則性はなく、完全にランダム。中には、PTSDを発症したプレイヤーもいるらしい。そして……」
「……仮面の装甲歩兵、ですか」

 手に入った情報の中で2人が最も注目していたのは、システムが作動している時間帯にのみ目撃された謎の兵士の存在だった。

 ――鉄仮面に顔を隠した装甲歩兵。

 それに該当する装備品や武装は現状、「RAO」には実装されていない。体が隠れるほどの重
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