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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
56.終局の手前で
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な二つの異なる感情に葛藤する彼女にかけてやれる言葉などわからない。
だけど彩斗は、不器用な笑みを浮かべて優しく言った。
「大丈夫だって、必ず帰ってくるからさ」
「……絶対だから」
友妃は涙を拭いながら立ち上がり、彩斗に近づいてくると、右手に持っていた刀を前に差し出した。
「絶対帰ってきて。それでちゃんとボクのところまで返しにきてよ。約束だから!」
「ああ、約束するよ。必ず返しにくる」
刀を受け取ると同時に彩斗の手を友妃の手が包み込む。祈りを込めるように彼女は強く握る。
震えていた。それは友妃自身の恐怖ではない。彩斗のことを思ってのことだとわかった。
それだけで彩斗が戦う理由はできる。
「それじゃあ、光の方は任せるぞ。こっちはなんとかするからよ」
「ああ、任せな」
黒猫が大きく頷く。
強く柄を握りしめて彩斗は、最後の戦いへと向けて走り出した。
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