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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
56.終局の手前で
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も未だ諦めない。手足をもがれても二人は止まることはないだろう。
それだけ譲れない戦い。
少女は痛む身体を必死で堪えて立ち続ける。少しでも気を抜けば倒れてもおかしくない。だが、少女は戦い続ける。
───守る者のために
青年は身体中が引き裂かれそうな痛みに耐えながら立ち上がる。魔力はほぼ失われ立ち上がっていることすら奇跡に等しい状態でもその心は砕けない。自らの渇きを癒すために、青年は戦い続ける。
───壊す者になるために
対立する両者。それは決して交わることはない。だからこそ、どちらも退くことは決してありえない。
「君的にはどちらが勝つと思うんだい?」
───どちらでもいい。
「君はほんと無感情だね。少しは僕を見習って欲しいもんだよ」
───お前は少し私情が多すぎる。
「そんなことはないさ。だって僕は常に平等じゃなければ、祭典が機能しなくなってしまうからね」
───…………
「ならば質問を変えよう。誰なら君を■せそうだと思う」
───俺に結果を聞くか……
「そうだった。君は全部お見通しだったね」
───…………
「だが、もしも……もしも、君の予想すらも超える者が現れたとしたら……」
───……フッ。もしもなどありえん。
「どこまでも君は現実主義者だね。だけど、僕はそのもしもに賭けるよ……いつか君に引導を渡すためにね」
遠のく意識の中で見えたのは、少女の笑顔だった。
最初は全く笑うこともなく、無口で不愛想だった。何度も無視されてそれでも諦めなかった。
そんな想いが通じたのか、彼女も少しづつだが話すようになってくれた。そんな些細なことでも嬉しかった。
少女は徐々に明るさを見えた。いや、元々そっち性格が本当だったのかもしれない。
周りを囲む人の声。それに反応して笑う少女。そんな光景を見ているのがたまらなく好きだった。
笑顔を浮かべるたびに、ぎこちないと笑われた。だからこっちも言葉で返した。
そんな普通の日常の記憶。死に際に見せる数々の記憶。
意識が深い海に底に溶けてなくなっていく。
これが死という感覚。存在した者が原初の海へと還っていく。そして何も残らずに消えていく。
『まだ、死ぬには早いよね』
声のした方に意識を傾ける。体などここには存在しないのだから。
『君にはまだやることが、やり残したことがあるはずだよね』
だが、もう体は動かない。
意識だってもう消えかかっている。
もうどうすることもできない。
『君はまだ動けるはずだよ……君が望めば』
声は彩斗の周りを包んでいく。
『君はまだやれるはずだ……君が望めば』
消えていく意識が何かに繋ぎとめられる。
『君はまだ戦え
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