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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
56.終局の手前で
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、ボロボロで、触れればすぐに倒れてしまほどに危う。
それでも少女は戦い続ける。その身を犠牲にしてでも彼に力を渡さないために。
青年は狂気のごとく攻撃をやめない。神の力を手にして絶対なる力を手にするために。
少女は大切な人たちとの約束を果たすためにその力を振るい続ける。多くの人たちの犠牲があったからこそ少女は今ここにいる。いつ砕けてもおかしくなった。怖かった。辛かった。苦しかった。今すぐにでも逃げ出したかった。だけど、少女のために命をかけてくれた人がいた。幾度となくピンチになっても誰かに助けられた。そんな人たちのためにも……
それに化け物である少女に声をかけてくれた。何度突き放してもまた来てくれた。危険だとわかっていても助けに来てくれた。化け物だとわかっても一緒にいてくれた。危険だといったのに来てくれた。
そんな人たちのためにも少女は生きてこの戦いを終わらせなければいけない。
そのためにもこの力だけは譲ることができない。
青年は自らのためにその力を振るい続ける。絶対なる力。理由などなかった。ただ、自らの渇きを癒すものがあればそれでよかった。
無駄に長く生き続けた者だからこそ、この戦いは青年が望んだものだった。
───■■う……
だからこそ、この力を手にすれば、古き世代。神に最も近き者たちと並ぶ力を得る。そうすれば、この渇きはさらに癒される。
───そん■こ■……望■■ない……
だから、力を求める。終わりなき戦いの中で青年の渇きを癒すものを探して。
そのためにもこの力だけは譲ることができない。
「とっととくたばれェ、三番目ェ!!」
新たに魔力が凝縮される。鮮血を纏いし次元を壊す獅子がこの世界に顕現する。
獅子はその牙を、爪を持って少女を消し去ろうと駆ける。
「“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の血脈を継ぎし者、未鳥柚木が、ここに汝の枷を解く───!」
右腕が鮮血を纏う。凝縮された魔力が右腕を媒体に解き放たれる。
「光臨して、“
純愛なる白兎
(
アフロディテ・ダット
)
”!!」
無限の泡の消失と再生からなる実態をほとんど持たぬ幻を見せる兎。無数の泡は鮮血の獅子にまとわりつく。次元を消し去る爪で薙ぎ払うがそれは無意味。全ての次元に干渉する力であろうと消失と再生を無限に繰り返す無実態の魔力の塊には意味のないこと。
本来眷獣に幻覚をかけるなど不可能。だが、そんな異常さえも可能にするのが“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の眷獣だ。
「クソッ! 戻れ、アレス!」
「させるかぁ───!」
元の魔力体に戻そうとする青年の声をかき消すように少女は叫ぶ。魔力体へと還ろうとする鮮血の獅子を巨大な泡が包み込んだ。
それは外と内。現実と幻を入れ替える結界。内からも外からも干渉を拒む切り離された世界。そこ
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