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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
56.終局の手前で
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めるよ」
この場に似つかわしくない軽い口調。
「多少であれば僕も目は瞑るつもりだったよ。だけどね……君のせいでおっかない彼女まで加勢してしまったからには流石に僕も見過ごせないかな」
靴音を鳴らして友妃のすぐ横で止まる。虚ろな瞳のまま目だけでそちらを向く。
ボロボロのジーンズに肩から灰色のボロ切れ布をかけたボサボサ頭の男。
「貴様……何者ダ?」
警戒心を上げるように空気中に漂う魔力の密度が濃くなっていく。
「その質問には答えられないかな」
男はまるで子供に秘密にするように軽い口調で言った。その刹那。凄まじい衝撃波がこちらへと襲いかかったと思えば、目の前で何事もなかったかのように打ち消された。
わずか数秒の出来事に反応することすらできなかった。
「危ない危ない。そっちから話してきたのに、答えないと分かったら実力行使か……全く君は子供だね」
軽い口調。しかし、行ったことはその程度で片付けていいものではない。彩斗と友妃が何もできなかった相手を退け、更には予備動作なしで行われた攻撃を当たり前のように消し去った。
「これは彼の戦いだ手を出すのは僕としても不本意ではあるが……この
戦い
(
ケンカ
)
、僕が買わせてもらうよ」
わずかに口角を吊り上げた笑みを浮かべてゆっくりと右手を前へと突き出した。
一瞬の静寂ののち、ローブが唐突に真横へと飛び退いた。その瞬間、先ほどまでローブがいた空間が歪み弾け飛んだ。
「読みは良かった。けど、反応が遅かったね」
飛び退いたローブの位置まで先回りしていた男が回し蹴りの体勢に入る。しかし、ローブは実態はこの場所には存在していないはず。だから物理攻撃をしても意味をなさない。
すると男の右足から赤い靄が止めどなく溢れでる。あれは眷獣の召喚時に見られるこの世界と異世界を繋ぐパスだ。
だが、あの距離で眷獣を召喚しようものなら二人とも出現の余波に巻き込まれることは確実。それを狙った戦術だとするなら捨て身の行為だ。
だが、目の前で起きたことは友妃の想像をしていたことではなかった。鮮血を纏う右足は魔力の放出を引き上げるが眷獣が一向に出現するようには見えない。そして濃密魔力を魔力を纏った右足がそのままローブ横っ腹を捉えた。
凄まじい衝撃とともにローブの体は真横へと吹き飛ばされ、反対の瓦礫の山に打ち付けられた。
「この程度でくたばるわけないよね」
男は何食わぬ顔でローブが飛んで行った方向に笑みを浮かべる。
「……万物干渉カ」
「ご名答。だから君の実態があろうがなかろうが僕には関係ないよ」
ローブは瓦礫から立ち上がると漆黒に包まれたフードの向こうから鋭い光をこちらに向けられる。
「再ビ、問オウ……何者ダ……」
すると男は呆れたように一
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