最終話 白き献花
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している。
――あの日からずっと変わらない、日常の空だ。
数日前の、アレクサンダーとの戦い。あの肉弾戦の後、彼はRの前から姿を消した。
ギルフォード事件に纏わる事情聴取も終わり、バッジも返上した今、彼はもはや何者でもない。ゆえにもはやその身は自由であり、何処に旅立つも思うがままなのだ。
彼が今、どこで何をしているのかはわからない。連絡先は今も残ってはいるが、あれ以来彼と話せたことはなかった。
――否、話す必要がなかったのだ。互いの想いをぶつけ合い、悲しみを吐き出し合った今なら……彼はもう、復讐に堕ちることはないのだから。
「……なぁ、伊犂江さん。一つ、頼みたいことがあるんだけど」
「え? な、なにかな」
そして、それゆえに。Rも、過去を踏み越えて行かねばと――あることを決めていた。
赤い顔のまま、利佐子の口を塞ぐ優璃に、Rは穏やかな微笑を向ける。そんな彼の笑顔を目の当たりにして、さらに彼女が紅潮した時。
「……オレさ、『ハピホプ』始めようと思うんだ。また色々、教えてくれる?」
Rは優しげな笑みと共に、過去を乗り越えていくための一歩を踏み出した。2年前の事件以来、アカウントまで消し去り避け続けていた、あの花園の世界へと。
――そして。花を愛する2人の近くでは。水を入れ替えたばかりの百合の花が、陽射しを浴びて純白の煌めきを放っていた。
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