第22話 永遠の十字架
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その「罪」が公になれば、世間は自分のみならず、何も知らない家族達までも責め立てるだろう。例えそれが許し難い悪業であろうとも、芯は愛する家族のために、「DSO」との関わりを隠滅するしかなかった。
いつかは、その報いをこの身に受けるのだろう。いつかは、真実を暴かれる日が来るのだろう。
――なら、その時までに。
罪に塗れた自分がいつか、誰かに討たれたとしても。真実が周知され、伊犂江グループの名が地に堕ちる日が来たとしても。
最愛の娘を、ただ1人の女性として守り抜いてくれる者が現れるまで。父として、娘を守り続けねばならない。
それが、罪を胸に抱えたまま生き続けている伊犂江芯の、原動力であった。
「悪鬼の娘であろうとも、愛してくれる男……か。欲塗れの虫しか来ないこんなパーティでは、見つかるはずもないな」
「は?」
「いや、なんでもない。……こちらの話だ」
天を仰ぎ、独りごちる芯。まだ見ぬ婿を夢見る瞳は、哀願の色を帯びていた。
(……恥を承知で、祈ろう。誰か、私の娘を愛してくれ……)
いつか、報いを受ける時。それに怯えて日々を暮らして行くことが、彼に課せられた「罰」なのかも知れない。
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