第22話 永遠の十字架
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う告げるかのように、アレクサンダーは速攻のボディブローをRの腹に叩き込み――首根っこを掴んで、投げ飛ばしてしまった。
Rの体は人形のように宙を舞い、アスファルトに墜落する。鈍い音と共に苦悶の声を漏らし、Rは足を抑えながらのたうちまわった。
「……ここまでだな。確かに私はVR戦闘においては君より未熟だが……ここは、あの世界とは違う」
「あ……ぐ、がっ……!」
「筋の良さは認めるが、戦う相手を選ぶべきだったな」
そんな彼を見下ろし、アレクサンダーは今度こそ終わりだと確信し……再び踵を返した。
死なせないよう手加減はしているが、Rに浴びせた打撃は気絶必至の威力を持っている。それを受けても意識を保っている時点で、異常といえば異常な耐久力ではあるのだが……やはり、まともに動けなくなるほどのダメージがあることには違いないようだ。
呻き声を上げ、身を震わせるRは――朧げな眼差しでアレクサンダーを見上げながらも、立ち上がる気配を見せない。ここが、肉体の限界であった。
(……しかし、ただの高校生にここまで粘られるとは想定外だったな。……まぁ、いい。ここまで死力を尽くして戦った結果なら、この子も満足だろう)
これほどまで懸命に、元捜査官を相手に戦った結果であるならば。会長を守れなかったとしても多少は、Rも己を責めずに済むだろう。
――そう結論付け、アレクサンダーは漆黒の愛車を目指して歩み始めた。
(……これで、いい。許す、などという苦行を……この子にさせるわけにはいかない。憎しみも悲しみも、怨みも。全て私が、この一身に引き受ける)
そして。その側に近づき、ハンドルに手を伸ばした――
(それが……自分の罪から逃げ続けてきた私が、最期に受ける罰だ)
――時だった。
「……ア……レク、サッ……!」
「……ッ!?」
裾に感じた違和感。下方から囁かれた、消え入りそうな声。
誤魔化しようのない、確かなその感覚が、アレクサンダーの動きを阻止した。やがて彼は、信じられないものを目の当たりにし、瞠目する。
「……め、だ……!」
「R、君……!」
Rはまだ、諦めていなかったのだ。地を這いずり、アレクサンダーに追いついていた彼は、縋り付くように裾を握り締めている。
頭や口元から血を滴らせ、焦点の合わない眼でアレクサンダーの行方を追うその姿に……元捜査官は、戦慄を覚えていた。
「……き、みは、なぜ……!」
そして湧き上がる、焦燥。
なぜここまでして、止めようとするのか。「DSO」に関わった伊犂江グループの会長に、なぜそこまで肩入れするのか。――恋人の仇を守る、ということに、なぜそこまで気力を注げるのか。
あらゆる疑問が浮かんでは、アレクサンダーの精神
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